研究概要 |
1. 量子サイズ効果の形状依存性 電子正孔系の量子閉じ込め効果の形状・次元依存性を有効質量近似の範囲で調べた。超微粒子を断面の半径R,長さLのミクロな円筒と仮定する。バルクにおける励起子ボ-ア半径をA_Bとすると,A_B,R,Lの相対的大小関係により,閉じ込め空間の次元を3次元(R/A_B》1,L/A_B》1),2次元(R/A_B》1,L/A_B【less than or similar】1),1次元(R/A_B【less than or similar】1,L/A_B》1)0次元 (R/A_B【less than or similar】1,L/A_B【less than or similar】1)の全域にわたり,連続的に変化させ,量子状態の変化の様子を調べることができる。変分計算の結果,一般に,閉じ込めの強い方向の電子正孔対の相対運動の自由度は位置の相関を失い,これと垂直な方向の自由度は,逆にバルクでの値より相関が強まる。(波動関数が縮む)ことが明らかとなった。これは,B_0I_3 積層欠陥などで観測されている反磁性シフトのサイズ依存性の結果をよく再現する。 2. 量子ドット・ランダム格子の光応答 ゼオライト中の半導体クラスタ,量子ドット超格子などのモデルとして,量子ドット(超微粒子)が,格子上にある充填率Cで分布した系の共鳴光散乱を調べた。量子ドットを2準位系で近似し,ブオトン場との共鳴相互作用を1体グリ-ン関数を求めることで調べる。C→0,C→1の両極限をスム-ズにつなぐ自己無撞着場(CCPA)近似を考察した。低濃度域では,フオトンは各ドットにより,ランダムな散乱を受け,一方,各ドットの励起状態は自然放出による寿命幅を持つ。Cがある臨界値を越えると,ポラリトン類似の励起・光混成モ-ドのコヒ-レントな伝播が支配的になる。このように,量子ドットの濃度およびランダムネスの関数として,共鳴光散乱の描像が大きく変化することを初めて示した。
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