研究課題/領域番号 |
03246212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
保田 英洋 大阪大学, 工学部, 助手 (60210259)
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研究分担者 |
藤田 広志 近畿大学, 理工学総合研究所, 教授 (30028930)
森 博太郎 大阪大学, 超高圧電顕センター, 助教授 (10024366)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1991年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | アトム・クラスタ- / 超高圧岩子顕微鏡法 / その場観察 / 高速拡散 / 超微粒子 |
研究概要 |
【研究目的】近年、粒径が数nm程度の超微粒子(以下クラスタ-と呼称)は、対応するバルクな物質にはみられない特異な物理的・化学的性質を示すことから、材料設計の基礎と応用の両面から注目を浴びている。本研究は、このようなクラスタ-の特異性を構成原子の相互拡散を通して考察することを目的とする。系としては、金率固溶型の金ー銅系と中間相として化合物相を持つ金一亜鉛系を選んだ。 【結果】(1)AuーCu系 電子顕微鏡内で、300Kに保持されたアモルファスカ-ボン支待礎上に粒径3nm程度の金クラスタ-をまず生成し、ついでこの上に銅を蒸着した。蒸着された銅はほとんどすべて予め存在していた金クラスタ-と合体し、一体化する。これにともなって、金のデバイシェラ-リングはほとんど瞬時に金ー銅固溶体のデバイシェラ-リングに変化する。この事実は、銅原子が300Kにおいても金クラスタ-の内部にまで急速に拡速に拡散して均一な固溶体が生成されることを示している。このような自発的合金化から、拡散係数を概算すると、金バルク材中への捕原子の拡散係数より少なくとも9桁速い拡散が生じることが判った。、この系の低温域にはCuAuやCu_3Auなどの規則合金が存在するが、得られた合金クラスタ-はすべて固溶体と判定された。さらに、銅蒸着時のその場観察の結果、合金化に際して金クラスタ-が支持膜上を移動することはないことが判明した。この事実から、蒸着された銅原子は支持膜上を酔歩し、金クラスタ-に到達するや否や固溶すると考えられる。一方、金クラスタ-のサイズが15nm程度に増大すると、銅を蒸着しても金のデバイシェラ-リングは変化せず、これに重畳して銅のデバイシェラ-リングが現れた。さらに、明視野像からも、銅が金クラスタ-上や支持膜上に独立して存在することが観察された。この事実は、クラスタ-サイズがこの程度になると、もはや銅原子の急速な固溶は生じないことを示している。すなわち、自発的合金化はある臨界サイズ以下でのみ生じることが判った。 (2)AuーZn系 金ー亜鉛系においても、金ー銅系と同様な自発的合金化が生じる。すなわち、蒸着された亜鉛はほとんどすべて予め存在する金クラスタ-と合体して固溶体クラスタ-を生成する。亜鉛の量をネットで50at%程度まで増加させると、金属間化合物AuZu(β')のクラスタ-が得られる。これより、全率固溶型以外の系でも自発的合金化が起こることが確認された。
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