研究概要 |
強磁場下の超伝導体では,第二種であればアブリコソフ格子が渦系の格子として形成される。この格子はHc_2線と呼ばれる所で超伝導の消失と共に格子も融解する。近年の高温超伝導体の発見に伴い,このアブリコソフ格子の融解点がHc_2からずれていることが指適され,理論的にこの融解点を導出することが必要となった。磁場が強い時には最近ランダウレベル状態を超伝導のオ-ダパラメ-タとして考えればよく,ギンツブルグ・ランダウ模型を使って融解点を定量的に導出する事を試た。高温からの摂動展開を用いて,低温相までの自由エネルギ-を求め,アブリコソフ格子の自由エネルギ-と渦系液体相の自由エネルギ-の比較により融解点を求める。この計算にはファインマン・ダイアグラムの高次の項の計算が必要となり,計算すべきダイアグラムの数は1億近くに達する。二次元の11次までの計算は我々によってすでに得られているが,今回三次元の計算を9次まで行った。パデ-近似を使って液体相と固体相の自由エネルギ-を求め,融解点を求めた。得られた融解点は,転移点(Hc_2)からゆらぎ中の10倍下方に存在し,またこの融解点でのリンデマン定数は0.14と求められた。この結果は高温超伝導体での実験値とコンシステントである。二次元の場合も融解点を導出した。またこの系に不純物を入れ,融解点が高温側に移動する結果を得た。不純物がある場合もファインマンダイアグラムの計算で自由エネルギ-と計算し,融解点を推定した。不純物が多い時には,ランダムポテンシャルが強い場合に相当し,このランダムポテンシャルが強い極限で超伝導体のジョセフソン線合並びにパ-コレ-ション理論と用いて融解点のランダムボテンシャル依存当と議論した。
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