研究課題/領域番号 |
03250213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70199610)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1991年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 一般相対論 / 重力波 / 数値的相対論 / 非線型物理学 / 宇宙項 / インフレ-ション |
研究概要 |
本重点領域研究の主目的である重力波天文学実現のため理論部門に要求される研究のうち、本研究では重力波の基本的性質を調べるため、強い重力場における古典的一般相対論の基礎的研究、特に、重力波研究にとって重要となる非線型重力場の動的ふるまいについて研究する。一般相対論はその非線型性もあって解析的アプロ-チには統一的な研究方法はなく、現在までいろいろな方法で個々に研究がなされてきたが、本研究では、このうち非線型現象で動的な問題に着目し、重力波との関連において、いろいろな非線型問題の研究方法を包括的また系統的に調べる。その際、解析的手段で解くのが困難な問題に対しては数値的相対論を使い明らかにする。 申請者は現在、インフレ-ション宇宙モデルの普遍性を調べるため、宇宙項が存在する場合の局在した強い重力波のふるまいを、京都大学等の研究者と共同研究している。そのための数値的宇宙論の定式化を完成し、3次元計算コ-ドの開発を行っている。そこで、まず初年度においては、この計算コ-ドをいろいろな問題に適用できるように一般化することを目指し、特にインフレ-ションと重力波の観点からその研究を行った。現在までに、簡単な場合として、宇宙項のみ存在する場合の1次元面対称時空のシミュレ-ション計算を実行した。Goldwirth、Piranは1次元球対称の場合に計算を行い、インフラトン場の非一様性のスケ-ル長が、地平線より大きな場合インフレ-ションが起こることを示している。我々はその問題と相補的な場合、つまり重力波による非一様性がインフレ-ションにどう影響するかを考えた。結果は、特異点に崩壊して行く様な場合は存在せず、すべて一様・等方なde Sitter時空に進化していった。このことはインフレ-ションの普遍性を支持する。この結果はGoldwirth、Piran達のものと異なるが、それが重力波による非一様性の特性か、仮定した対称性によるものかどうかは、現時点では、明かでない。今後、2次元、3次元のシミュレ-ションを実行する予定である。 本年度の成果の一つとして、これらのシミュレ-ションなどをもとにし、インフレ-ションの普遍性問題に関する新しい仮説、“Cosmic Hoop Conjecture"を提案し、宇宙項が存在する場合の非一様時空の進化のようすを解析的および数値的に解明しつつある。この結果は近い将来国際会議および学術雑誌に発表の予定である。 本研究とは別に、若手研究者育成のため、各地の相対論研究者達を東京都立大学に進め、「一般相対論と重力」のワ-クショップを12月開催した。参加者は120名ほどで、44の研究発表(うち総合報告7つ)があった。この研究会を通じ、相互の情報交換を行うとともに、多くの若手研究者がこの分野に興味をもったのではないかと思われる。今後もその若手育成と重点領域研究推進のため相対論研究者の情報および研究成果交換を目的とした本研究課題に関連したワ-クショップを年一回開きたい。
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