研究分担者 |
山鳥 重 兵庫県立姫路循環器病センター, 神経内科, 部長
平井 有三 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (80114122)
中野 馨 東京大学, 工学部, 助教授 (30010953)
田中 啓治 理化学研究所, 国際フロンティア研究システム・思考電流研究チーム, チームリーダー
小野 武年 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50019577)
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研究概要 |
実験的な手法と,モデルによる研究との両面から,学習・記憶・思考・認識などのメカニズムを調べた.その結果,下記の1〜3の事実を実験的に明らかし,下記の4〜7のような種々の機構の神経回路モデルを実現した. 1.物体視の中枢であるサルの大脳皮質下側頭野で、似た刺激特徴に反応する細胞が皮質表面に垂直な方向に伸びた約800個のコラム状の領域に集まって存在する事実を発見した. 2.サルの扁桃体には感覚刺激の価値評価および快・不快情動発現に,海馬体には自己の居場所と刺激の呈示方向,あるいは自己の居場所と出来事の連合記憶に関与する細胞が存在することを明らかにした. 3.ヒトの大脳で日常繁用物品の概念がどのように構造化され,意味記憶として蓄積されているかを知るために,左側頭・後頭葉に中核病巣をもつ患者を対象に,損傷部位と物品同定障害との対応を調べた. 4.視覚パタ-ン認識機構の神経回路モデル“ネオコグニトロン"の回路構造を改良し,新しい学習手法を導入して,従来よりも高いパタ-ン認識能力を,従来よりも簡単な学習手続きによって実現することに成功した. 5.選択的注意のモデルの画像処理の機能を拡張したシステムを,記号処理言語Prologを用いて実現した.これにより,画像認識に必要なパタ-ン的な知識と,記号的な知識の両方を同時に使えるシステムができた. 6.例外を含む意味ネットワ-クから情報を検索するときに有効なInferential Distance Algorithmを,神経回路の枠組みで表現するための新たな結合係数変更規則を提案し,ハ-ドウェアで実行することに成功した. 7.観測デ-タに恒常性をもたらす前処理を認識系に付け加えると,学習速度が向上し,また回路規模も小さくてすむことを,部品の識別及び楽器音の識別を例に確かめた.
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