研究課題/領域番号 |
03251202
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鈴木 寿夫 弘前大学, 医学部, 教授 (00003351)
|
研究分担者 |
小高 泰 弘前大学, 医学部, 助手 (10205411)
東 正夫 弘前大学, 医学部, 助教授 (60003563)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 視覚注意 / 並列処理 / 上丘 / 前頭眼野 / 眼球運動 |
研究概要 |
動物の視覚性注意は、前頭眼野と上丘によって並列的に制御されていると考えられている。この処理機構を解明するために、前頭眼野を破壊し、上丘が単独で働くときの活動を調べた。実験には、無麻酔の日本ザルを用い、頭を動かないように固定し、眼球運動を記録した。上丘に微小電極を穿入し、ニュ-ロンの視覚性反応、サッケ-ド時の活動、および微小電気刺激で生じるサッケ-ドについて調べた。上丘の多くの場所でこれらを調べた後、1側の前頭眼野をカイニン酸を用いて破壊した。破壊後、再び同様な調査を行った。その結果、1.上丘の電気刺激で起きるサッケ-ドの閾値が、前頭眼野破壊後明らかに低下した。閾値の低下は破壊側と同側の上丘全域の浅層から深層に渡って見られ、破壊後の調査期間中(40日)観察された。2.上丘電気刺激によるサッケ-ドの潜時、振幅、速度は、前頭眼野の破壊後変化なかった。一方、上丘ニュ-ロンの視覚性反応の強さ、反応パタ-ン、受容野の大きさには変化なかった。3.自発眼球運動は前頭眼野の破壊によって大きく変化した。破壊後、自発サッケ-ドの頻度が減少した。また、破壊脳半球と反対側の空間に視線を向けることが少なく、動きの範囲が狭く、動きの範囲の中心は破壊側に著しく偏位した。これらの変化は1ヶ月後に回復した。眼の位置の同側偏位は視覚誘発性眼球運動ではわずかに認められる程度であった。反対側視野に提示した光スポットへ眼を向けることができた。しかし、眼の位置はスポット位置よりもわずかに同側にずれていた。視覚誘発サッケ-ドの潜時、速度に変化はみられなかった。以上の結果は、前頭眼野の摘除後上丘のサッケ-ド生起機能が亢進することを示す。このことと自発眼球運動の障害から、普段は、上丘のみで視覚性注意の全てを司るとは考え難く、両者が共同して視覚性注意を司ると考えられた。
|