研究課題/領域番号 |
03251212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
板東 武彦 新潟大学, 医学部, 教授 (50029534)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 眼球運動 / 大脳視覚連合領 / 視覚運動連関 / 輻輳運動 / 近見反応 / ネコ / 神経生理学 / 焦点調節 |
研究概要 |
本研究では眼の近見反応、特に輻輳運動系・焦点調節系間の相互連関の大脳機構を明らかにするため、ネコ大脳視覚連合領の1つ、外側上シルビウス領(LS領)を対象とし運動関連領域の広がり、誘発運動の潜時、眼球運動関連ニュ-ロン活動を分析した。本年度は従来の焦点調節の研究に次ぎ輻輳運動を中心とした研究を行った。 実験には記録・刺激用チェンバ-を装着した覚醒ネコを用いた。眼球運動は磁気サ-チコイル法、眼の屈折力は赤外線オプトメ-タを用いて記録した。1)LS領内での系統的脳内微小激により、その中央部にあるPMLS領の吻・尾側2ヶ所にある中心視領域で焦点調節・輻輳運動が誘発された。輻輳運動・焦点調節の双方が誘発される刺激部位の他、輻輳運動または焦点調節の一方のみが誘発される刺激部位も一部に見出された。PMLS領の尾側領域刺激による誘発輻輳運動の最短潜時は、LS領刺激による誘発外眼筋筋電図潜時(20-30msec)にほぼ一致した。一方、吻側領域刺激による輻輳運動の潜時は有意に長かった。従って、PMLS領内に機能分化があり、処理された結果は尾側領域から脳幹輻輳運動領域へ出力されることが示唆された。2)輻輳運動と相関を持つLS領細胞活動を検索した。60個のニュ-ロンの約8%では、視覚刺激より引き起こされた輻輳運動の速度変化と相関した細胞活動変化が認められた(輻輳関連ニュ-ロン)。3)輻輳関連ニュ-ロンは視標の接近・離反運動のみでなく、フロントパラレル面内での視標の運動、両眼視差変化、視標大きさ変化等の視覚刺激に比較的非選択的に応じた。従ってこの群の細胞は輻輳運動に相関した活動を示すと共に、視標が前方、あるいは斜め前方から接近・離反する際に賦活される視覚ニュ-ロンでもあると考えられた。4)以上の結果、及び従来の研究結果からLS領は輻輳運動系ならびに焦点調節系の視覚・運動連関に役割を果たすことが示唆された。
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