研究課題/領域番号 |
03251225
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉山 博之 九州大学, 理学部, 教授 (20124224)
|
研究分担者 |
伊藤 功 九州大学, 理学部, 助教授 (20183741)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 長期増強 / グルタミン酸 / グルタミン酸受容体 / アニラセタム / 可塑性 / キナ-ゼ |
研究概要 |
本研究ではモデル系としてラット海馬の新鮮スライス標本を用い、機能単位(モジュ-ル)としてのCA1野とCA3野を取り上げ、これらの機能的特徴を比較検討することにより、脳の高次機能を可能にしているモジュ-ル構造の意味を理解することを指目した。この目的のため、これらの領域におけるシナプス伝達の特徴および可塑性、特に長期増強の分子機構を解析し比較検討した。 今回グルタミン酸受容体アンタゴニストに関して検討し、CA3野のLTPは、Gタンパク質共役型グルタミン酸受容体のアンタゴニストであるAP3やAP4によって顕著に抑制されることを見いだした。また、電気的な頻回刺激を用いないでLTPを誘導することを試みた結果、代謝調節型グルタミン酸受容体のアゴニストであるイボテン酸がCA3野シナプスにLTP様の現象を引き起こすことが分かった。さらに、カルモジュリン依存性タンパク質キナ-ゼIIの阻害剤の効果に顕著な差のあることを見い出した。すなわちこのキナ-ゼの選択的阻害剤であるKNー62は、CA1野のLTPを強く抑制したが、CA3野のLTPに対しては余り抑制作用は見られなかった。向精神薬の一つであるアニラセタムは、AMPA型グルタミン酸受容体の反応性を特異的かつ可逆的に増強する。アニラセタムの増強効果をLTP成立の前と後において比較したところ、CA3野ではLTPの有無にはまったく影響されなかったが、CA1野ではLTP成立後の方が前よりもわずかに小さかった。この結果はCA1野のLTPの中にはシナプス後細胞の反応性増大の寄与が含まれており、その増大はアニラセタムによる増強と加算的ではない、という可能性を示唆していると考えられる。これに対してCA3野のLTPでは、シナプス後細胞の寄与はCA1野の場合より小さいかほとんどない、とも考えられる。
|