研究課題/領域番号 |
03251235
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 孝行 (財)東京都神経科学総合研究所, 医学心理学部門・副参亊研究員 (10004706)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 大脳皮質連合野 / 側頭葉 / 認知機構 / 視覚ニュ-ロン / 神経生理学 |
研究概要 |
サルの下側頭皮質は複雑な視覚対象の認知判断にかかわるとされていている。この研究では視覚対象の認知判断の過程で、形と色の情報がいかに処理をされているかを調べるために、サルに次のような行動課題を行わせ、下側頭皮質のニュ-ロン活動を記録した。まず、試行中小光点から目を動かさないように訓練しておく。次に、視野の中央付近の2カ所に図形または色彩刺激を2つ同時に提示して、それらの形または色が同じか否かを判断する課題を習得させた。また、1つの刺激ををO.5秒先行させる課題も行わせ、単独刺激に対する応答をも調べた。この課題は、概念的な判断を必要とするためサルには難しいものであったが、下側頭皮質のニュ-ロンは刺激によく応答し、296個に応答があった。そのうち90個は異なる図形に対して、67個は色に対して選択的に応答した。形に対して選択的に応答するものは下側頭皮質の背側部に、色に対して選択的な応答をするものは腹側部により多く分布する傾向がみられた。また、1つの刺激と同じ刺激を2つ同時に提示した時の応答を比べた場合、応答の選択性は基本的には同じであった。このことは、2つの離れた図形に対して、下側頭皮質ニュ-ロンの受容野内では2つの独立した形として処理されると考えられた。一方2つの異なる刺激を提示した場合、応答の変化はニュ-ロンによって異り、応答が減少するものと増大するものとがあった。このような異なる刺激による線形または非線形の相互作用は、2つの刺激に対するニュ-ロンの選択性が強いほど大きく変化した。以上の実験では、形と色は別々の試行系列で提示された。記録されたニュ-ロンのうち形と色の両方に対して選択性を示したものはあまりなかった。さらに別のサルにおいて色彩の異なる図形を用いて、形の同一性の判断課題を行わせた。まだ実験は継続中であり、数は多くないが形と色の両方に選択性を示すニュ-ロンが観察されている。
|