研究課題/領域番号 |
03252202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 孝之 東京大学, 医学部(分), 助手 (10166671)
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研究分担者 |
高橋 俊二 東京大学, 医学部(分), 助手 (90221358)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | アクチビン / フレンド白血病細胞 / 赤芽球系分化 / 巨核球系分化 / 骨髄ストロ-マ細胞 / ホルボルエステル / tumor necrosis factor / interleukinー1 |
研究概要 |
アクチビンは、フレンド白血病細胞(MEL)やヒト白血病細胞 K562において赤芽球系への分化を誘導し、また正常骨髄細胞においても赤芽球前駆細胞を刺激することから、赤芽球系に特異的な造血因子と考えられてきた。私どもはまず、MELにおいてアクチビンと従来の分化誘導化学物質として代表的なHMBAの作用を比較した。その結果、いくつかの点において両者の作用に差があり、異なる作用経路を介することを示唆した。本年度はさらにMELにおいてアクチビンが赤芽球系の形質だけでなく、アセチルコリンエステラ-ゼとトロンボキサン合成能という巨核球系の形質も誘導することを見いだした。一方、HMBAとホルボルエステルPMAはそれぞれ赤芽球系と巨核球系の一方向の分化のみ惹起した。アクチビンはこの細胞を二方向に分化させるというきわめてユニ-クな作用をもつことが判明した。現在、この作用の生理的意義および分子基盤について研究を行なっている。一方、造血組識におけるアクチビンの産生については、白血病細胞株HL60やTHPー1をPMAで刺激すると発現が誘導されることから、骨髄単球系細胞が産生細胞であると考えられてきた。最近私どもは新たに骨髄ストロ-マ細胞が本因子を産生することを見出だした。マウス・ストロ-マ細胞株ST2,PA6はいずれもPMAによる刺激で速やかにアクチビンmRNAを発現し、蛋白を産生した。TNFは緩徐にアクチビン蛋白の産生を引き起こすが、mRNAの増加ははっきりせず、PMAとは異なる機構で本因子の産生を引き起こすと考えられた。一方、ヒト・ストロ-マ細胞株ではPMA,TNF,ILー1のいずれの刺激によっても速やかにアクチビンmRNAの増加と蛋白の産生を引き起こされた。現在ストロ-マ細胞におけるアクチビンの発現調節機構をさらに解析中である。このように、本年度のアクチビンの産生・作用機構について新し知見を見いだし、本研究の目的は十分達成できたと考えられる。
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