研究概要 |
筋細胞分化の分子機構解明を目的として、ミオシン軽〓遺伝子の2つのシス因子に対する作用を検討することにより、筋分化制御因子群の転写因子としての性質を検討した。 MyoD,Myogemin,MRF4発現プラスミドとMLC1f遺伝子の上流領域にCAT遺伝子と連結し、称維芽細胞にトランスフェクトし、転写誘導活性を測定した。(1)MyoD,Myogeminは転写を誘導するが、MRF4は誘導できない。(2)MyoD,Myogeminによる転写誘導には-2Kb付近に存在するエンハンサ-が必須である。(3)エンハンサ-領域には5ケのEーboxが並んでいるが、MyoDは5'側の2ケのEーboxを認識して転写を誘導するが、Myogeminはこれとは異なるEーboxを介して転写を誘導する。この結果、節分化因子はエンハンサ-の活性化という面から見ると明らかに異なる機能を有していることが示唆された。 収縮タンパク遺伝子のプロモ-タ-領域にはCArG/MLC boxが存在し、プロモ-タ-活性に重要な役割を担っている。そこで筋分化制御因子がCArG/MLC boxを活性化するどうかを検討したところ、直接結合するとの結果は得られなかったが明らかに活性化することがわかった。おそらく、inter mucliate Trans cription fuctorの転写誘導を介して活性化すると考えられる。 エンハンサ-,CArG/MLC box,MーCAATモチ-フ,MEFーIIなどこれまで知られた筋細胞で特異的に発現する遺伝子のシス因子は全て、節分化制御因子の制御下にあり、一元的に支配されている可能性が示唆された。
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