研究分担者 |
谷口 克 千葉大学, 医学部, 教授 (80110310)
竹縄 忠臣 東京都老人総合研究所, 生体情報部, 部長 (40101315)
青柳 高明 昭和薬科大学, 教授 (10159303)
星 元紀 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (20012411)
斎藤 政樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
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研究概要 |
ガングリオシド糖鎖の担うバイオシグナルの機能とその分子機作を解明するために生理活性に注目した研究を展開し,各分担研究者は以下のような注目すべき成果を得た。 神経突起伸展作用をもつガングリオシド分子で活性化されるエクト型蛋白リン酸化酵素の存在およびその作用の分子機構の解析を進めた。ヒト骨髄性白血病細胞の増殖を阻止し分化を誘導するガングリオシド分子がインスリンレセプタ-βサブユニットの自己リン酸化を特異的に阻害することによって生物活性を発揮することを明らかにした。細胞内情報伝達を担うイノシト-ルリン酸化酵素の一種PI3ーキナ-ゼ活性がポリシアロガングリオシドで特異的に阻害されることを見出した。黒色腫メラノ-マの特異抗原の一つであるガングリオシドGM3を特異的に認識するT細胞株の作成に成功し,T細胞による糖鎖認識にも,糖鎖とMHとクラスIIの共認識が必須であることを明らかにした。ウニ卵の主要糖脂質、ガングリオシドGM5(NeuGcα2ー6Glcβ1ー1Cer)に対する抗体を作成し,未受精卵ではGM5が細胞内膜系に偏在すること,受精後,速やかにその分布を変え胚発生・分化過程において重要な役割を演じていることを明らかにした。インフルエンザウイルス受容体ガングリオシドを特異的に認識し,細胞へのウイルス吸着を阻止するモノクロ-ナル抗体の作成に成功した。微生物培養液中に発見した多くの新規構造の低分子阻害物質の中で,各種グリコシダ-ゼ阻害物質のin vivo効果を長期間連続投与後の脳内諸酵素活性動態を指標に解析し,グリコシダ-ゼのみに投与量に依存した有意な変化を発見し,in vitroの抗酵素スペクトラムでは理解できない酵素活性の変動がin vivoで,誘起されることを見出した。ガングリオシドGM3に巨核球分化誘導促進作用が新たに発見された。
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