研究概要 |
〈研究目的〉 発達脳におけるグリア細胞系譜を制御している膜表面分子群の中で,A2B5反応性ガングリオシドはタイプ2アストロサイトへの調節に関与する機能分子である可能性の強いことから、グリア細胞系譜のモデルを培養系で確立し、A2B5反応性ガングリオシドとの関連性について検討した。 〈研究結果〉 1).グリア細胞系譜の作製;新生児ラット大脳より、トリプシン処理でグリアプロジェニタ-細胞を含む初代培養系を作製し,この系で分化誘導されるOー2Aプロジェニタ-を分離した。さらに培養した後オリゴデンドロサイトを除き、タイプ2プロジェニタ-を得た。この系を用い血清濃度や,ファクタ-の添加によりタイプ2アストロサイトを維持することが出来た。一方グリアプロジェニタ-を頻回トリプシン処理することやタイプ2プロジェニタ-に高濃度の血清を添加して、タイプ1プロジェニタ-や,タイプ1アストロサイトを得た。 2)タイプ2アストロサイトへの制御に関与するガングリオシド:A2B5反応性ガングリオシド(GD_3,GT_<16>,GQ_<16>)は,タイプ1プロジェニタ-やタイプ1アストロサイトには存在していなかったが,Oー2Aプロジェニタ-やこれより分化するタイプ2プロジェニタ-とタイプ2アストロサイトではA2B5陽性のガングリオシドが強く見い出された。特にタイプ2プロジェニタ-ではその量も著しく増加していた。さらにA2B5反応性ガングリオシドに対する抗体は,Oー2Aプロジェニタ-由来の細胞の分化誘導を阻害する傾向にあることも明らかとなり,A2B5反応性ガングリオシドがこれらの細胞系譜をコントロ-ルしていることを示唆した。
|