研究課題/領域番号 |
03258225
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
浜岡 利之 大阪大学, 医学部, 教授 (60028529)
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研究分担者 |
藤原 大美 大阪大学, 医学部, 助教授 (70116094)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1991年度: 15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
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キーワード | 担癌状態 / 免疫抑制 / 抗原提示細胞 / CD4^+細胞 / TGFーβ |
研究概要 |
I.担癌状態の免疫抑制機構を解析する過程で、我々は担癌宿主ではヘルパ-T細胞(Th)活性、特にCD4^+Thが選択的に抑制されることを明らかにした。CD4^+Thは、CD4^+Th自身が抗原提示細胞(APC)により抗原提示を受けて初めて活性化される。担癌宿主でのCD4^+Th機能の抑制がCD4^+Th自身又はAPC側いずれの機能失調によるものかについて解析した。以下の結果が得られた。(1)正常マウスを担癌マウスのAPC(TBーAPC)で免疫した後、腫瘍細胞で攻撃接種したところ有意な腫瘍低抗性が認められ、又、腫瘍特異性も確認された。in vivo実験系に加えてILー2の産生を指標としたin vitro解析系樹立を試み、TBーAPCの機能に関して更に検討した。(2)担癌マウス由来脾細胞からAPCを除去して得たT細胞集団のみでは、ILー2産生は認められなかった。しかし、このT細胞集団を7W担癌マウス由来APCと混合培養したところ、ILー2産生が認められた。(3)種々の担癌stageマウス由来脾細胞全画分を培養し、ILー2産生能をみたところ担癌2〜3Wをpeakとしその後、担癌stageの進行とともにILー2産生能の減少が見られた。(4)次に免疫マウス由来T細胞を応答細胞として、これを種々の担癌stageマウスより調製したAPCと培養したところ、担癌stageの進んだマウスより得られたAPCほど抗原提示能が強いことが認められた。以上、担癌状態に見られる抗腫瘍CD4^+Th機能の抑制はAPCの機能失調ではなく、担癌APCはむしろ恒常的に腫瘍拒絶抗原をpick upし それをCD4^+Thに提示出来る状態になっていることが証明された。 II.担癌状態でのCD4^+Thの機能抑制を惹起する因子として、腫瘍細胞が産生するTGFーβが大きな役割を演じていることを報告してきた。一般にTGFーβは不活性型として産生され、細胞外でなんらかの機構で活性型に変換されて初めて機能を発揮する。今回、腫瘍細胞自身による不活性型TGFーβの活性型へのactive conversionについて検討した。用いたマウス腫瘍細胞はその培養上清におけるTGFーβの存在様式により、(1)大部分が活性型として検出されるもの(CSA1M),(2)大部分が不活性型として検出されるもの(MH134ーE3),(3)TGFーβがほとんど検出されないもの(MCH11A1)に分類された。CSA1M培養系にMH134ーE3を加えて3〜6時間培養する際、CSA1M自身は活性型TGFーβを産生しない条件下(シクロヘキシミド処理)で、活性型のTGFーβを検出した。又、MH134ーE3培養上清は約200kDの不活性型TGFーβを含むことを証明した。今回得られた結果より、MH134ーE3上清はlarge latent TGFーβを含んでおり、CSA1Mはこのような不活性型TGFーβの活性型転換能を有することが明らかになった。
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