研究概要 |
Bリンパ球の抗原特異的活性化に重要な働きをしている膜表面IgMレセプタ-のトランスメンブランシグナリングがどのようなメカニズムで行われているのかを理解する目的で,IgMレセプタ-複合体構造を解析し,その機能を研究している.昨年度までの研究成果で,我々のクロ-ニングしたmbー1遺伝子はB細胞特異的で,preーB細胞から成熟sIgM^+B細胞までのステ-ジ特異的に発現していて,その遺伝子産物が,34KDの膜糖タンパクをコ-ドすることが示されている.さらに,この分子がB細胞抗原受容体IgM分子と結合し,複合体を形成していて,抗原のシグナルをB細胞内へ伝達する機能ユニットとして重要であることを示してきた.今年度は,このMBー1分子はIgM分子をまだ発現していない,未熟なステ-ジのB細胞でもシグナル伝達分子であることを見いだし,その機能的複合体構造を解析した.その結果,MBー1モノクロ-ナル抗体による刺激は,未熟なpreーB細胞に特異的なシグナルを与え,細胞内チロシンリン酸化経路の活性化,細胞内Ca^<2+>イオンの動員,preーB細胞の増殖促進という,活性化反応を引き起こすことが明かとなった.この未熟B細胞ののシグナルを受ける受容体構造を解析し,mbー1分子はμ鎖/λ_5鎖/VpreB鎖のサロゲ-トコンプレックスと特異的に結合し,種々の未同定の機能分子との複雑な複合体を形成して,シグナル伝達を行っていることを示した.また,このコンプレックス内の新たなコンポ-ネントと思われるリン酸化タンパクの同定を行い,現在その解析を進めている.
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