研究概要 |
(1)nm23‥‥大腸菌によるヒトnm23遺伝子由来蛋白におけるNDPkinase活性の検討を行ない,nm23H1およびH_2遺伝子産物の類似性を示した。さらに,nm23H1およびH_2の各々の蛋白に対するモノクロ-ナル抗体を作製した.107例の乳癌におけるnm23蛋白の発現とリンパ節転移および予後との逆相関を明らかにし,erb B_2との独立性を明らかにした。マウスメラノ-マ細胞株B_<16>において,内在性もしくは導入されたnm23遺伝子の発現と腫瘍の転移能との関係を検討した。血液系細胞株3株において,分化誘導に伴うnm23の発現減少を明らかにした。 (2)p53……医癌培養株10株および原発性医癌30症例におけるp53の遺伝子変化および発現について解析をした。RTーPCR法およびSSCP法によって培養株10株中4株にp53遺伝子の突然変異,1株にp53遺伝子の欠損を認め,また,原発症例30例中15症例においてp53の突然変異を認めた。全ての変化は塩基配列を決定することにより確認し,point mutation,deletionおよびinsertion等の多彩な塩基配列の変化を認めた。さらに,これらの遺伝子変化とp53蛋白に対する抗体を用いた免疫染色の腸性反応とは強い相関性が示された。これらの亊実はp53遺伝子の変化がヒト胃癌の発生に強く関連していることを示唆している (3)β1,4Nーacetylgalactosaminyltransferase‥‥GM_3陽性,GM_2陰性,GD_2陰性のメラノ-マ株にポリオ-マT抗原を発現させ,transient発現に適した宿主受容細胞株を作製した。この宿主受容細胞を用い,seed達の開発した真核細胞発現ベクタ-CDM8に組み込んだGM_2陽性ヒト細胞株YTからのcDNA libraryを用いて,GM_3ガングリオシドよりGM_2を合成する酵素β1,4NーacetylgalactosaminyltransferaseのcDNAを単離し,その全長塩基配列を決定した。本酵素遺伝子をヒト,マウス細胞に導入し,安定発現させ前駆糖鎖の存在によりGM_2又はGD_2が新しく発現させた。
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