研究課題/領域番号 |
03258238
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
井村 伸正 北里大学, 薬学部, 教授 (70012606)
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研究分担者 |
田中 聡子 北里大学, 薬学部, 助手 (40188313)
姫野 誠一郎 北里大学, 薬学部, 助手 (20181117)
瀬子 義幸 北里大学, 薬学部, 講師 (60133360)
永沼 章 北里大学, 薬学部, 助教授 (80155952)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
1991年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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キーワード | メタロチオネイン / 制癌剤 / 発癌抑制 / 副作用軽減 / 耐性 |
研究概要 |
(1)昨年度に引き続きメタロチオネイン(MT)の合成誘導が制癌剤の発癌性に及ぼす影響を観察した.その結果,シスプラチン(CDDP)またはメルファランの投与(投与は最初の2カ月間のみ行いその4か月後の発癌率を測定)により全てのマウス肺に発癌が認められたが,この制癌剤による腫瘍発生率は昨年度の予備検討結果と同様に亜鉛の前投与によって顕著に減少し、さらにビスマスの前投与によって有意な減少が観察された.このときの肺のMT濃度は、合成誘導剤である亜鉛またはビスマスの投与期間中(最初の2か月)は有意に高値を示したが投与中止後は未処理のマウスと有意差は認められなかった.これらの結果から、少なくとも肺のMT濃片が制癌剤投与期間中高く維持されていれば発癌抑制効果が得られると考えられる. (2)MT合成を阻害する薬物を検索した結果、シスタチオナ-ゼ阻害剤であるpropargy1 glycine(PPG)が亜鉛によるMTの誘導合成を阻害することが判明した.担癌マウスに亜鉛を投与して癌組識中のMT濃度を増加させるとこの癌細胞はCDDPに対して強い耐性を示すようになるが、亜鉛投与前に予めPPGを投与しておくことによってこのCDDPに対する耐性が認められなくなった.また、CDDPの用量規制毒性として知られている腎毒性(BUN値の上昇を指標とした)はMT合成誘導剤である亜鉛の前投与によって著しく軽減されたが、PPGはこの亜鉛の示すCDDPの腎毒性軽減効果にはほとんど影響を与えなかった.これは、PPGが亜鉛による腎臓中MTの合成誘導に影響を与えることなく癌組識中MTの合成誘導を抑制するためと考えられる.
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