研究課題/領域番号 |
03260212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
樫原 康博 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00161018)
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研究分担者 |
久野 宗 京都大学, 医学部, 教授 (50142295)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 感覚神経細胞 / 軸索切断 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 神経成長因子 / 酵素免疫測定法 / メッセンジャ-RNA / ペプチド合成調節 |
研究概要 |
痛覚のシグナルを伝える一次求心性感覚神経細胞体で合成されるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、中枢にも末梢にも輸送され(Kashihara等 '89)、各々の終末端より放出される(Sakaguchi等 '91)。中枢終末より放出されるCGRPはシナプス伝達に関与し、末梢終末のCGRPは血管拡張に参与していると仮定されている。この感覚神経細胞のCGRPレベルは末梢標的細胞から供給される神経成長因子(NGF)によって制御されていると仮定されている。しかし、培養感覚神経細胞ではNGFの非存在下でもCGRPの発現が観察されることから、NGF以外の因子も感覚神経細胞のCGRPレベルの調節に関与していると示唆される。本研究はこの感覚神経細胞のCGRP合成調節をin vivoで検討した。ラット坐骨神経を慢性切断すると2週間以内に腰髄後根神経節(DRG)のCGRPレベルは減少した。ところが一方、後根を切断するとDRGのCGRPレベルは24時間以内に増大した。このCGRPの増大はDRGのCGRPのmRNA発現の増大を介して起こることをnorthern法で確認した。従って、DRGのCGRP発現は中枢枝と末梢枝を介して相反する調節を受けていると示唆された。予め、1週間前に坐骨神経を切断しその後後根を切断した場合では、後根切断によるCGRPレベルの増大はもはや観察されなかった。従って、後根切断によるDRGのCGRP合成の促進は、末梢枝のintegrityが必要であると考えられる。坐骨神経切断後直ちにminiーosmoticポンプを介して切断端の中枢側にNGFを慢性投与し、後根を切断すると、末梢枝を切断しているにも拘らず再び、DRGのCGRPレベルが増大が観察された。感覚神経細胞のCGRP発現は、中枢枝を介して供給される因子と末梢標的細胞から供給されるNGFとのcoーoperativeな作用によって調節されると結論される。
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