研究課題/領域番号 |
03263203
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 靖幸 北海道大学, 薬学部, 教授 (00034041)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 神経細胞死 / グルタミン酸 / NMDA受容体 / チャネル / Ca^<2+> / プロテインキナ-ゼC(Cキナ-ゼ) / カルモジュリンキナ-ゼII |
研究概要 |
グルタミン酸による神経細胞死の分子機構を解明する目的で、1)学習記憶障害を早期より引き起こす老化促進モデルマウス(SAM)のグルタミン酸ニュ-ロン系の加齢変化、2)ラット胎仔脳初代培養ニュ-ロンのグルタミン酸の作用、3)ラット脳の後シナプス肥厚部を用いて各種プロテインキナ-ゼによる各種グルタミン酸受容体/チャネルの調節機構および4)ラット脳mRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に微量注入して各種グルタミン酸受容体/チャネルを再構成させ、その電流応答に対するCキナ-ゼの調節機構について解析した。 1)SAM大脳皮質および海馬において生後2ケ月齢よりグルタミン酸およびグルタミン含量が増加していた。また、NMDA受容体/チャネル数は加齢によって減少し、NMDA誘発アセチルコリン放出活性も低下していた。これらのことから、SAM脳において早期よりグルタミン酸生合成あるいは代謝機能の異常が起こることによってグルタミン酸が蓄積すること、これにより脳内ニュ-ロンに障害が引き起こされると示唆された。また、加齢にともなって加速的なグリオ-シスおよびシナプスの脆弱性も示された。 2)ラット胎仔脳初代培養ニュ-ロンは、グルタミン酸およびNMDA処置により24時間後には50%以上のニュ-ロンが細胞死を引き起こした。Mg^<2+>非存在下NMDAを作用させると細胞外Ca^<2+>の流入による細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が認められた。 3)ラット脳の後シナプス肥厚部のNMDA受容体/チャネルは、精製Cキナ-ゼおよびカルモジュリン(CaM)キナ-ゼIIのリン酸化処理によってopen channel blockerのMK‐801結合親和性が増加すること、また精製cyclic AMP依存性プロテインキナ-ゼによるリン酸化処理では結合活性は変化しなかった。このことから、Cキナ-ゼおよびCaMキナ-ゼIIはチャネル部位をリン酸化し、チャネルが開口し状態になることが示唆された。 4)ラット脳のmRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に微量注入し、ラット脳グルタミン酸受容体を再構成した。この系でCキナ-ゼを活性化させるホルボ-ルエステル処置によって、代謝型グルタミン酸受容体応答電流は消失したが、AMPAおよびカイニン酸受容体応答電流には変化が認められなかった。一方、NMDA受容体電流応答は、約2倍に増大し、この作用には細胞外Ca^<2+>の流入が必要であった。このことからも、NMDA受容体/チャネルはCキナ-ゼおよびCaMキナ-ゼIIのリン酸化によって細胞外Ca^<2+>の流入が増強されることが示唆された。
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