研究課題/領域番号 |
03263217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
小池 達郎 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80128131)
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研究分担者 |
田中 秀逸 佐学医科大学, 医学部, 教務員 (90202431)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 細胞死 / 細胞変性 / 交感神経節 / 小脳 / 神経成長因子 / カルシウム / cAMP / 脱分極 |
研究概要 |
(1)SCG及びPC12細胞の細胞死、変性における情報伝達機構の機序 ラット新生児上頸神経節神経節細胞を1週間NGF存在化で培養した後、培地中にNGF抗体を加え、NGFを除去すると、細胞死が起こる。死細胞の割合は、培地中に出てくるアデニル酸リン酸化酵素の活性から定量化した。この細胞死は細胞内カルシウムの上昇の他、cAMPの上昇によっても阻止された。即ち、細胞死はカフェイン等のメチルキサンチンによって阻止されたが、それはこの薬物による細胞内カルシウムの一過性の上昇によるのではなく、cAMPフォスフォジエステラ-ゼ阻害剤としての作用によっていた。これは同時に持続的な細胞内カルシウムの上昇が必要とするカルシウムセットポイント仮説を支持するものと考えた。シクロヘキシミド(CHX)により蛋白合成を抑えると細胞死は阻止されることが知られているが、CHX投与による実験から細胞死への最終的なコミットメントはNGFを除いて15時間後に起こった。カルシウムやcAMPはこのCHX感受性部位より下流の部位に作用することで細胞死を阻止することが判った。又PC12細胞をモデルとして使うことにより、神経突起の変性の機構を細胞体の変性とは別に追求することが可能になり、特にプロテア-ゼ阻害剤の効果を中心に調べた。又、NGF除去によりcーfos等のprotooncogeneの初期の遺伝子の発現を促進するかNorthern Blotにより調べた結果、発現を促進することが判った。その他、Cキナ-ゼ系の関与、リソゾ-ム系の関与はなかった。 (2)小脳granule神経細胞のin vitroでの細胞死 小脳granule細胞を7日目のラット小脳から調製した。この時点で細胞はまだ増殖している為、90%pureなgranule細胞を得られる利点がある。栄養因子説によれば、postmitoticな神経細胞はそのtarget細胞から栄養因子の補給をうけないと細胞死が起こる。実際、小脳granule細胞は培養6日目には全て死に、この細胞死は脱分極によって阻止される。この脱分極は細胞内カルシウムの上昇と相関していた。この細胞死はシクロヘキシミド又はコルジセピンにより蛋白RNA合成を抑えると細胞死は阻止されることから、交感神経節細胞の細胞死と共通の特徴を持つ。この系を中枢神経細胞の細胞死のモデルとして更にその機構に関する研究を続ける予定である。
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