研究課題/領域番号 |
03263229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
郭 伸 国立精神神経センター, 神経研究所・4部, 室長 (40160981)
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研究分担者 |
相澤 仁志 国立精神神経センター, 神経研究所・4部, 流動研究員
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 神経細胞死 / グルタミン酸受容体 / アクロメリン酸 / カイニン酸 / AMPA / 脊髄 |
研究概要 |
アクロメリン酸を全身投与すると脊髄介在ニュ-ロンの選択的変性による持続性の痙性対麻痺がラットに引き起こされる。このようなアクロメリン酸に特異的な神経障害作用のメカニズムを明らかにする目的で、1)受容体結合実験によりアクロメリン酸の作用する容受体を検索した。2)脊髄クモ膜下腔に興奮性アミノ酸を直接に投与することにより生ずる脊髄ニュ-ロンの変性の特徴を検索した。 1)受容体結合実験は、ラット脊髄シナプトゾ-ム分画に対する[ ^3H]カイニン酸および[ ^3H]AMPA結合能をフィルタ-法を用いて測定した。脊髄の[ ^3H]カイニン酸および[ ^3H]AMPA結合部位は共に単一であった(Kd値:各6.2±0.35、7.6±1.5nM、Bmax値:52±1.6、70±5.6fmol/mg protein)。[ ^3H]カイニン酸結合能に対するアクロメリン酸の阻害作用はカイニン酸の1/30に過ぎず、[ ^3H]AMPA結合能に対するアクロメリン酸の阻害作用はキスカル酸の1/30であった。アクロメリン酸はラット後根神経をカイニン酸よりも強力に脱分極させるが、これはアクロメリン酸が[ ^3H]カイニン酸、[ ^3H]AMPA結合部位とは異なった受容体に作用して高い脱分極作用を発揮していることを示唆する。 2)興奮性アミノ酸をラット脊髄クモ膜下腔に注入し、脊髄ニュ-ロンに対する興奮作用を比較すると、アクロメリン酸は、AMPAに比べて数十倍、カイニン酸に比べて100倍以上強力であること、半永続的な痙性対麻痺と、脊髄介在ニュ-ロンに特異的な神経細胞障害を引き起こすことが明らかになった。これは脊髄性の痙性対麻痺を研究するうえで極めて有用なモデルであると考えられる。興奮性アミノ酸の種類による違い、拮抗物質、神経変性のメカニズム、慢性投与による影響などを検討中である。
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