研究概要 |
本年度,我々は,1.ゴルジ領域に関する体細胞遺伝変異株について解析した結果,低比重リポ蛋白(LDL)受容体のLDL結合ドメイン附近の0ー糖鎖が欠失した結果,LDLの結合活性が著明に低下していることを観察した。すなわち,LDL受容体の0ー糖鎖構造がその機能に必要であることを明らかにした。2.マクロファ-ジ細胞でゴルジ領域内で合成・成熟したLDL受容体はゴルジ領域をでたあとすみやかに崩壊することを,マウスおよびヒトのマクロファ-ジ様細胞を用いて観察した。このことは,マクロファ-ジ細胞膜におけるLDL受容体の発現の制御に同受容体の安定性が関与している事を示唆している。3.LDL受容体のシアル酸添加はゴルジ体領域で生じるが,上皮増殖因子(EGF)受容体のシアル酸添加はトランスゴルジネットワ-ク領域で進む可能性を,ブレフェルジンAを用いて示唆した。4.ヒト癌KB細胞から安定なブレフェルジンA耐性株KB/BFー1及びKB/BFー2を単離した。同耐性株においてはゴルジ体の構造が変化していることを電顕学的に観察している。蛋白分泌や受容体の合成・成熟について検索を進めている。今後,ゴルジ領域の選別膜輸送における機能について同領域の変異株を駆使して研究を進めていきたい。
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