研究概要 |
ゲノム情報の蓄積にともない,これから高次の知識を獲得する情報処理技術の開発が望まれている。それには,(1)大量の情報を蓄積・検索する技術,(2)ゲノムデ-タ解析に必要な知識を操作する技術,(3)過去の解析事例を有効活用する技術の確立が重要である。本研究では(3)の側面を中心に(1),(2)の統合化を目指し,3年間のスケジュ-ルをたてている。 本研究の目的は事例ベ-ス推論(CBR)に基づくシステムを中心に,大量のゲノム情報を比較的容易に蓄積・利用できるデ-タベ-スと,ゲノム情報解析に関する知識を蓄えた知識ベ-スとを,統合化する技術を提案することにある。本年度はこの第一年度にあたり,以下の基本技術について研究を実施した。これには,主に,本年度購入したLispマシンボ-ド(Mac Ivory)を利用した。 (1)知識システム開発方法論の検討 デ-タベ-ス・数値計算処理・知識ベ-スの諸機能をもつ大規模知識システムの開発手法について研究を実施し,本研究課題で採用を予定するシステム構成について実現可能性の検討を行なった。 (2)学習機能をそなえた知識システムに関する検討 対象領域について深い知識をそなえる知識システムに対し,演えき的な学習手法(説明に基づく学習)を適用することで,効率化学習の機能の実現がはかれる見通しを得た。 (3)事例ベ-ス推論のトレ-ドオフの検討 事例ベ-ス推論をそなえたシステムでは、事例の処理に負荷がかかるため,実際上,問題解決能力が向上するか否かは自明ではない。そこで適当な仮定のもとでは,事例ベ-ス推論を知識システムに追加することが有効であることを示し,それを実験によって確認した。
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