研究概要 |
珊瑚礁およびタンガニイカ湖沿岸域に生息する魚類の種間関係に関する野外調査をスキュ-バ潜水により行った。 幸田は高知県柏島の珊瑚礁において,タカノハダイとササノハベラの混群形成および種間攻撃について調査し,隨伴行動が様々な種の組合せ起ることを認めている。また宇和海においても同様の調査を行い,両種に排他的な関係のあることを明らかにし,体長依存の種内・種間順位関係の存在することを明らかにした。さらに,隠れ家をめぐる魚類の種間競争について明らかにするため,複数種のベラ類の摂餌場所と寝ぐらの場所に関する予備調査も行った。山岡は,珊瑚礁の藻食性魚類の摂餌生態及び形態の多様性と共存機構を明らかにするため,高知県及び沖縄県の珊瑚礁魚類の観察と採集を行った。摂餌行動から7科12属23種を3つの摂餌様式に分類した。顎歯の交換方式から,メジナ科メジナ属のクロメジナとオキナメジナに差異が認められ,これらが両種の摂餌行動に関与することを明らかにした。クロメジナはBrowser,オキナメジナはGraserであり,同属内でも形態学,生態学的に明確な差異のあることを明らかにした。 柳沢は,タンガニイカ湖のカワスズメ科魚類の繁殖様式の多様性を明らかにするための調査を行い,Xenotilapia flavipinnisの種内における繁殖様式の多様性を明らかにした。名越は,タンガニイカ湖調査でこれまでに得られた資料に基づき,繁殖様式の多様性と共存機構についての検討を行った。 現在,これらの調査,検討資料の解析を行っており,今後逐次論文としてまとめる予定である。
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