研究課題/領域番号 |
03269203
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40191738)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 生物間相互作用 / サクラソウ / 異型花柱性 / 受粉媒介昆虫 / 食害 / 酵素多型 / ジ-ン・プ-ル / 保全生態学 |
研究概要 |
サクラソウの山地の代表的な自生地であり、比較的良好な昆虫相の存在する八ヶ岳山麓の自生地において、サクラソウの分布、ハビタット特性、およびの生物間相互作用がサクラソウの種子生産におよぼす影響を検討した。また、酵素多型の分析によりサクラソウ個体群の遺伝的構造を分析した。その結果、次のようなことが明らかにされた。 1)調査地とした八ヶ岳演習林においては、その全域にわたって、渓流沿いや湿原の回りなどにサクラソウが生育しており、その数は株(ラメット)数にして数万株に上る。 2)調査地におけるサクラソウの花型構成は、 典型的な二型花柱性の特徴を備えており、 長柱花型と短柱花型が1:1で存在し、 等柱花型の頻度は非常に低い。このことは、 異型花柱性の交配様式が正常に機能しているとを示唆する。 3)サクラソウの花にはビロウドツリアブ、 トラマルハナバチ、ハナダカハナアブ、 ダイミョウセセリ、 イチモンジセセリなどが訪れることが確認された。 これら多様な昆虫が受粉媒介を行う可能性が示された。 4)酵素多型の分析の結果、 演習林内の均一なハビタットからなる小地域ごとに遺伝的な分集団が形成されていることが示され、 調査対象地域にはサクラソウに関して複数のジ-ンプ-ルがあることが判明した個々のジ-ンプ-ルの大きさは受粉媒介昆虫の行動圏の大きさに依存したものと考えられる。 5)繁殖器官の食害の頻度が高い集団では種子生産が大きく抑制されていたが、 その被害から免かれた集団では、 長柱花、 短柱花ともに良好な種子生産を示した。 受粉媒介昆虫が確保されれば、 サクラソウの異型花柱性の正常な機能が期待できることが明らかにされた。
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