伊豆諸島のうち、マルハナバチの分布の有無によりマルハナバチの分布する伊豆大島とマルハナバチの分布しない八丈島、新島を対象に調査を行なった。対照のため本州千葉県の清澄山周辺においても調査を行なった。また、重点領域研究地球共生系の全体会議・班会議・シンポジウムに出席し、研究計画・研究成果を発表した。 伊豆諸島の各島において調査場所を設定し、調査場所に存在する種子植物のリストを作成し、個体数を測定した。調査場所において開花している植物種について花をサンプリングした。サンプリングした花について花蜜の量をマイクロシリンジを用いて測定し、花蜜の濃度を糖度計を用いて測定した。実験室に持ち帰った花について花粉の量をセミミクロ分析天秤を用いて測定した。 開花時期の調査により、本州の清澄山および伊豆大島では春から初夏にかけてマルハナバチが訪花・採餌するキブシ・オオシマザクラ・オオシマツツジ・ハコネウツギ・ウツギ・オオバイボタ・ホタルブクロなどの植物が約2週間間隔で次々と開花するのに対し、八丈島および新島ではこれらの植物の開花時期・開花期間などに変化が認められた。八丈島ではオオシマツツジが分布せず、4月下旬から5月上旬にかけて資源量の一時的な落ち込みが観察された。新島においてはマルハナバチにより採餌される植物の個体数が少なく、したがってマルハナバチにより利用される資源量も少ないことが判明した。即ち、八丈島にマルハナバチが分布していない理由の一つとして5月上旬の資源量の落ち込みを挙げることが出来ると思われる。一方新島にマルハナバチが分布していないのはマルハナバチが定着できるだけの資源量が存在しないためであると考えられる。
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