研究課題/領域番号 |
03269217
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
土屋 誠 琉球大学, 理学部, 教授 (40108460)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 生物群集の成立過程 / 共生 / ハナヤサイサンゴ / サンゴガニ類 / オニヒトデ / サンゴの白化 / 繁殖生態 |
研究概要 |
ハナヤサイサンゴの枝間に棲息している小動物のうち、サンゴガニ類、サンゴテッポウエビ、ダルマハゼ類などはサンゴ類が生産する粘液やそこにトラップされる有機物を餌として利用し、またサンゴの捕食者のオニヒトデを撃退してサンゴと共生している。最初にこの共生動物の種組成及び個体数の季節変化の調査を開始した。併せて野外と実験室内においてオニヒトデを接近させ、オニヒトデに対する反応を観察する計画であった。ところが夏期に高水温のためハナヤサイサンゴの白化するという異常現象が起こった(8月)。完全に褐虫藻が抜けでて白化した群体や、さらに状況が悪化し死亡した群体からはこれらの共生動物は認めらず、サンゴが健康な状態でいることの共生動物に対する重要さを確認した。そこでまず白化現象と共生動物との関係を解析することにした。白化直後から9月にかけて頻繁に接近した台風のため十分な野外調査ができなかったが、10月には白化サンゴの回復過程とそこに棲息する共生動物の特徴を調べることができた。白化はハナヤサイサンゴとミドリイシ類に特に顕著に起こったが、2カ月後には褐虫藻の増加が認められ、80%程度回復していた。この時点においても完全に白化している群体は存在し、そこから共生動物は採集されなかった。回復過程にある群体からは共生動物が採集されたが、正常な群体に棲息している個体と比較すると幾つか異なる特徴が観察された。通常これらの共生動物は雌雄のペアで存在するが、この場合雌雄のペアが観察される割合は低かった。かわりに小型個体が多く採集され、一度白化によって共生動物が皆無になった状態から、再侵入したことが推測された。サンゴガニ類の抱卵個体も採集された。抱卵数は大型個体ほど多いが、この回復過程にあるサンゴに棲息している雌の抱卵数は通常の場合よりも多かった。異常条件下の個体群はすばやく個体群サイズを増大させようとしている可能性がある。
|