研究概要 |
1.細胞分画による封入体構成繊維の分離 -80度で保存した細胞を2倍量のBuffer(0.01M Tris HCl,pH7.5,0.15M NaCl,0.01M KCl) glass homogenizerでホモジナイズした後,8000rpm×20'を2回行ない、その沈澱を同じBufferにsuspendした。これをショ糖不連続濃度勾配遠心にかけ(30000rpm×80'、Hitachi;80Pー7,RPSー65)30の分画を得た。その全てを電顕でチェックした結果、30%ショ糖濃度の上2〜3画分に繊維がみられた。これを集めBufferで希釈して、4000rpm×80'の遠心を行ないその沈澱をさらに同じBufferにsuspendしたものをEMで観察したところ、繊維の長とは様々だが、太さは22〜26nmで生細胞で観察された封入体構成繊維の太さとほぼ一致した。現在は得られた蛋白質のSDSーPAGEを試みており、すでに得られている単離封入体のSDSーPAGEの結果とー致するかを検討中である。(東京都臨床医学総合研究所、矢崎和盛氏との共同研究による) 2.封入体を大量に保持するゾウリムシ系統の作出 以前から封入体をもつNn4a株のsublines作りを続けてきたが、その際、できるだけ封入体の少ないものと、逆により多く含むsublinesを作るよう心がけてきた。前者は封入体単離などの際のback groundないしはcーontrolとして利用できるし、後者は、封入体単離をより容易にしてくれる可能性がある。 これまでに後者の傾向を強く示すもの、すなわち、もとの株よりも大きな封入体を含むsublinesを得ることができた。このことは、封入体が増殖の過程で変異したのか、それとも宿主細胞の側が変わったのかのいずれかを意味するわけだが、それについても検討中である。
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