研究課題/領域番号 |
03301009
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
神林 恒道 大阪大学, 文学部, 教授 (80089862)
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研究分担者 |
三浦 信一郎 帝塚山学院大学, 文学部, 教授 (50122148)
中村 興二 奈良女子大学, 文学部, 教授 (50000360)
森谷 宇一 大阪大学, 文学部, 教授 (70033181)
横山 弘 奈良女子大学, 文学部, 教授 (00068735)
原田 平作 大阪大学, 教養部, 教授 (50198925)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 芸術 / 自然観 / ホメロス的自然 / ピクチュアレスク / ロマン主義 / 感傷様式 / 近代芸術 / 現代芸術 / 古典主義 / 自然(観) / 風景画 |
研究概要 |
本研究の基礎論を形成しているのは西洋と東洋の自然観と芸術観に関する比較とその再検討であった。従来自然との共生または交感という自然感情は、東洋的芸術観に固有のものであり、西洋でこの種の感葉が芽生るのは18世紀のロマン主義以来の事とするのが一般的であった。だが、本研究により、すでに古代のホメロス的自然過情にその萌芽があること、また中国・日本の自然観にも機会論的なものへの志向が辿れる事などが改めて確認された(森谷・横山・原田・中村研究班)。しかし歴史的展開の過程で東西の自然感情に互いに通底するものが認識されたのは、やはり18世紀からだといわねばならない。この新たな自然感情は、人間の内なる本性としての自然の自覚とともに、これに対立する技術に関する根本的反省を促す契機となった。この時期の新たな自然観の広がりを、フランスのルソーの提言「自然に帰れ」を軸として、イギリスのピクチュアレスクの美学、ドイツのロマン主義での深まりへという発展の諸段階を美学・芸術学の理論的な視点から追究し、相互の有機的連関が確認された(上倉・岸・神林研究班)。こうした自然感情が、この時期のさまざまな芸術のジャンル(庭王・絵画・文学・音楽)においていかに反映されたかが、それぞれ当時の歴史的・社会的背景に即して実証的に分析、解明された。とりわけ「感情様式」を巡ってなされた音楽と自然の関係に関する研究は、従来にない知見を示した(潮江・島本・上倉・三浦研究班)。このように通時的・共時的そしてグローバルな視点に立ってなされた総合研究のコンテンポラリーな意義を、近現代の芸術現象を通じて明らかにすべく作品創造の現場からの報告を交えての研究が試みられ、これまでにない斬新な成果が得られた(加藤・大森・岡林・達城研究班)。本研究は、そのテーマ「芸術と自然」の問いなおしにおいて、期待どおりの新たな地平を開く充実した研究成果を挙げえたと信じる。
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