研究課題/領域番号 |
03301072
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤原 保信 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (10063629)
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研究分担者 |
佐藤 正志 東海大学, 政治経済学部, 教授 (30145156)
木村 雅昭 京都大学, 法学部, 教授 (30025150)
原 彬久 東京国際大学, 教養学部, 教授 (60129096)
雀部 幸隆 名古屋大学, 教養部, 教授 (10023590)
小笠原 弘親 大阪市立大学, 法学部, 教授 (90068114)
鴨 武彦 東京大学, 法学部, 教授 (20063737)
佐々木 毅 東京大学, 法学部, 教授 (90009803)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 政治思想 / 歴史 / ヨーロッパ / アジア / 日本 / 国際政治 / 平和 / 戦争 / 比較思想 / 国家 / 権力 / 正義 |
研究概要 |
東西冷戦の構造の終焉は、戦争と平和の問題をけっして過去のものとしたわけではない。むしろ民族や宗教の相違により紛争は激化しているし、人類そのものを滅亡させる核兵器の恐怖はなお現実のものである。戦争は、人の存在と本性に深く根ざしていると言えるかもしれない。実際、ながい政治思想の歴史をみたとき、平和だけが唯一価値を認められているわけではなく、逆に戦争を人間にとってのある種の徳目の発揮として積極的に認める思想(例えばプラトンやヘーゲルなど)や、戦争に手段的な価値を認める思想(アウグステイヌスやマキアヴェリなど)が存在してきた。しかし、世界戦争と核異器の20世紀は、戦争を絶対悪に変えた。このことは、今日、たとえ平和がそれ自体目的ではなくとも、それなくしては「善き生」や正義などの他のいかなる人間の目的や価値も実現しえないことを意味するであろう。この文脈において、改めて積極的平和の概念の意義が問われなければならない。本共同研究は、そのような平和の概念をめぐる今日の歴史的課題を明らかにするために、政治思想の歴史において平和の問題がどのように扱われ、平和の条件がどのように求められたかを追究した。まず、西欧の政治思想の伝統の中から、グロティウスにおける正戦論を基本とする現実主義的な平和論、ホッブズにおける近代的な秩序形成の論理と消極的平和概念、ルソーにおける永久平和論評判とロゴスにもとづく平和の理念、マルクスにおける世界革命による平和の構想が分析された。次に、非西欧圏の政治思想から、ガンディーの非暴力思想の精神的背景とその非西欧的特徴、康有為の「大同」思想の清末平和論の中に占める位置、内村鑑三の義戦論から非戦論への転向の意味と後者の信仰とのかかわりが明らかにされた。最後に、現代の政治理論に関して、モーゲンソーの権力論の背後にひそむ平和への志向、ロールズの正議論の国際的適用の可能性が検討された。
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