研究課題/領域番号 |
03301080
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済事情・政策学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 經夫 (石川 経夫) 東京大学, 経済学部, 教授 (90107483)
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研究分担者 |
橘木 俊詔 京都大学, 経済研究所, 教授 (70112000)
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
八田 達夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70008647)
西村 清彦 東京大学, 経済学部, 助教授 (70164580)
吉川 洋 東京大学, 経済学部, 教授 (30158414)
八木 匡 名古屋大学, 経済学部, 専任講師 (60200474)
堀岡 チャールズ 大阪大学, 社会経済研究所, 助教授 (90173632)
照山 博司 東京大学, 社会科学研究所, 助手 (30227532)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 所得分布 / 所得分配 / 資産分布 / バブル / 労働分配率 / 不平等 / 機会の均等 / 大学教育 / 日本経済 / 資産分配 / 公的年金 / 二重構造 / 資産の分配 / 日本の労働市場 / 教育支出 / 日本 / 賃金格差 / 家計貯蓄 / 労働市場の二重構造 |
研究概要 |
広範な経済統計の検証を通して、日本の所得・資産の分配の現状とその変化を規定している要因と構造を明らかにすることが本研究の課題であった。本研究から得られた知見を概括すれば、次の通りである。 (1)賃金所得については、近年個人間の賃金分布にわずかな拡大傾向があるものの、学歴、年齢構成の変化と勤続収益率の変化が相互に相殺することで、米・英と比べはるかに安定的に推移してきた。また、米・英に比べ分布はより平等であるが、年功賃金的様相を示す高賃金の一次部門と低賃金および年齢に伴う賃金上昇のない二次部門とに明確に分離される構造を持ち、近年後者が拡大している。また、経済全体としての労働分配率を変化させる要因として、マクロ的な総需要の変動と同時に、労働市場における賃金調整制度や財市場における不完全競争の度合といった市場の組織面の要因が重要性である。 (2)利子・配当等の資産所得、とりわけ株式、土地のキャピタル・ゲインを考慮すると、近年これらを含む所得分配はかなり大きく不平等化している。また、家計資産ストックの分配においても1980年代後半の資産価格の上昇が不平等化に果たした役割はきわめて高い。 (3)大学教育の相対価格の上昇が近年の大学進学率の停滞を引き起こしている。大企業や公共部門・雇用条件のよい産業への就職機会上有利な入試難易度の高い大学へ高所得世帯の子女が集中する傾向があり、その意味で個人間の機会均等は崩れつつある。 (4)家計の資産分配を規定する貯蓄行動について、ライフ・サイクルの富と遺産動機にもとづく富の蓄積の双方が重要である。後者については単なる次世代に対する利他的配慮だけでなく、老後の介護・生活保障との交換が意識されている。遺産動機が存在するといっても、それ自体として資産分布を不平等化させるものではないが、予期しない資産価格上昇による分配の歪みが幾世代にわたって継承される可能性もある。 (5)公的年金制度における最近の改革にも拘らずいまなお合理的理由のない所得再分配効果が世代間、世代内の両方で生じている。 (6)開発途上国への所得移転の現状の展望から、今後望ましい貢献のあり方についてさらに論議が必要である。
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