研究課題/領域番号 |
03304024
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 迪雄 東京大学, 農学部, 教授 (30011943)
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研究分担者 |
松山 茂実 東京大学, 農学部, 助手 (80219526)
森 裕司 (森 祐司) 東京大学, 農学部, 助教授 (40157871)
西原 真杉 東京大学, 農学部, 助教授 (90145673)
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 助手 (80150192)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
17,800千円 (直接経費: 17,800千円)
1992年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1991年度: 12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
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キーワード | 視床下部 / 腹内側核 / 摂食行動 / 生殖行動 / 性腺刺激ホルモン / 腫瘍壊死因子 / 興奮性アミノ酸 / 交感神経 / 多ニュ-ロン発射活動 / 脳室液 / アミノ酸 / 腫瘍壊死因子‐α |
研究概要 |
本研究においては、多ニューロン発射活動記録、吸水ポリマー脳内注入、神経細胞培養などの我々の開発した研究手法を用いて視床下部機能を多面的に解析し、摂食および生殖機能の調節に関与する神経機序を解明するとともに、実用動物における摂食・生殖機能の制御のための方法論を見出すことを目指してきた。本年度の研究では、まず生殖機能を調節する視床下部神経機構(GnRHパルスジュネレーター)の電気活動が腫瘍壊死因子-αにより脳内で産生されるプロスタグランジンを介して抑制されることが明かとなった。これは感染時などには免疫系細胞が積極的に生殖機能を抑制しうることを示している。また、このようなGnRHパルスジェネレーターは排卵時の性腺刺激ホルモン大量放出には関与していないことが示され、卵胞発育や黄体機能の維持と排卵は異なる神経機構によって抑御されているという生殖神経内分泌学上の極めて大きな発見がなされた。一方、VMHには興奮生アミノ酸によって走行運動を誘起する神経機構が存在し、その神経機構は同時に交感神経系の活動を賦活し、血中へのエネルギー基質の供給を高める機能をもつことが明かとなった。さらに脳室液中のアミノ酸組成や細胞成長因子が摂食行動の調節に深く関与していることから、脳室液の組成の分析およびその組成をもとにした培養液の開発を行なってきたが、視床下部スライスの潅流実験によりこのような培養液中では腹内側核(VMH)ニューロンの興奮性やブドウ糖感受性が変化することが判明し、VMHにおける摂食行動制御機構の解明における意義は大きいものと考えられる。このように、GnRHパルスジュネレーターやVMHの機能について幾つかの新しい概念を提示することができたことは本研究の重要な成果であり、産業動物における摂食や生殖、さらには病態の制御など、獣医学、畜産学、医学上の諸問題の解決に向けて大きく前進することができた。
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