研究課題/領域番号 |
03305011
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
森下 直貴 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (70200409)
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研究分担者 |
清水 正之 三重大学, 人文学部, 教授 (60162715)
植村 研一 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60009561)
弘 睦夫 広島大学, 文学部, 教授 (80033504)
小原 信 青山学院大学, 文学部, 教授 (30084239)
免取 慎一郎 山梨大学, 教育学部, 教授 (20020373)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 生命倫理 / バイオエシックス / 社会的合意 / 倫理基準 / ターミナルケア / 生殖医療 / 臓器移植 / 倫理委員会 / 日本的伝統 / 意志決定 / 差別 |
研究概要 |
本研究のテーマは、「日本社会の中での『倫理的な原則』はいかなるものか、そしてそれはいかにして形成されるか」である。そのさいの基本視角は次のとおり。第一に、生命倫理が特定の社会・文化のコンテクストに依存することを徹底的に自覚すること。第二に、関心の焦点が「生命」科学自体から、人々の身近な生活と「生き死に」に直接かかわる「医療」へし移動していること。第三に、その上で考察の中心は、医師一患者関係における態度・行為をめぐる道徳論議の次元以上に、むしろ「社会的合意」の形成という制度・政策次元の倫理的な認識論であること。これらの問題意識は、最近の「バイオエシックス」の国際的な動向を先取りしている。 (1)研究会において確認された「多元」社会の認識論の大前提は、人権概念の基盤としての「個人の尊重」である。これに方向づむられる中で、以下のような要件が不可欠である。(1)異なる見解の平等(「多元性」)、(2)「公共的」な諸問題の解決の仕方としての「論議」、(3)二者関係の納得一到としての「同意」(この積み重ねとしての「合意」)という真理観、(4)社会的に合意された見解とは異なる)少数見解の制度的な保証。 (2)そうした真理観に支られた「社会的合意」の形成において、「倫理基準」が同意されるべく、提案されなければならない。倫理基準には、例えば、能死判定、移植医療、尊厳死・安楽死、生植医療における「中絶」や「治療停止」、遺伝子治療、などをめぐるものがある。研究会では幾つかのものに部分的に手を付けた。今後は、残る領域にも手を延ばし、基準を総合的に完成させる必要がある。 (3)「社会的合意」の担い手として、「倫理委員会」の役割にも考察を加えた。今後は、日常的な医療行為にかかわる倫理委員会を、日本社会の中に制度化し定者させる課題がある。 今後とも、生命倫理という「生き死に」に関わる身近な問題をくぐり抜けることを通して、倫理学と日本社会の倫理を鍛え直すという目標に一歩でも近付くよう鋭意努めたい。とりわけ、理倫的には、「個人の尊重」の根拠を「哲学的人間学」として探究することが重要である。
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