研究分担者 |
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
松尾 のり道 九州大学, 理学部, 助手 (70108645)
清水 洋 九州大学, 理学部, 助教授 (50178985)
柳 哮 九州大学, 理学部, 教授 (90037234)
加茂 幸介 京都大学, 防災研究所, 教授 (70025328)
|
研究概要 |
1990年11月に噴火を開始した雲仙岳は,翌年5月20日に溶岩を流出し,1992年3月現在依然として溶岩ド-ムを成長させている。 本研究では,多種目にわたる総合的観測によって,溶岩流出・ド-ム形成過程と,それにともなった物理的,化学的諸現象の把握に努めるとともに,火砕流発生のメカニズムの究明を試みた。これまでの主な成果は,つぎの通りである。 1.地震・微動観測 現在までのところ,6個の溶岩ド-ムが形成されているが,それぞれの出現に際しては,極めて顕著な前駆的地震群発が確認された。21地点による高密度観測によって,精密な震源決定がなされ,火口直下から溶岩ド-ム内に分布しているこが明らかになった。 2.地磁気熱消磁 溶岩流出開始約10日前より,急激な消磁傾向が検知され,以後も,継続的なマグマの供給を反映し,緩慢な消磁傾向が続いている。マグマの供給停止にともなう帯磁への反転が期待される。 3.地穀変動観測 西麓海岸ル-トでの水準測量の結果,噴火開始後15箇月間で約3cmの沈降が認められ,マグマ溜りが火口より西側に潜在することが推定された。 4.火山ガス観測 CI^-/SO_4 ^<2->比に,1991年7〜8月を境に変化がみられた。SO_2放出量は,1991年6月以降,約200t/日であった。 5.地質学的観察・調査 溶岩ド-ム成長の推移を,空中・地上から目視観察,写真・セオドライト測量によって記録するとともに,火砕流堆積物の分布と体積を明らかにし,溶岩流出率がほぼ30万m^3/日,これまでの流出総量が約8千万m^3であることを明らかにした。また,溶岩はディサイト質で,構成鉱物の化学成分から,温度が800℃程度であることが推定された。
|