研究課題
総合研究(A)
2年間にわたり国立大学12校、私立大学6校を対象にインタビュー、アンケートにより米国人学部留学生のジュニヤー・イヤー・アブロード式の1年間の受れ入れに関する調査を行った。調査した私大では40〜100名規模で受れ入れ、別科において留学生の為の日本語の授業及び英語による日本研究の科目を提供しているのが多かった。国立大では、日本語日本文化研修留学生又は交換留学生としての受け入れがほとんどであるがその数は極小規模であることが判明した。留学生センターのある国立大では日本語日本文化研修留学生用のプログラムを有する所もあるが、留学生用の別科等1年間程度受け入れるまとまったプログラムを持つ所は無い。その結果米国人学部生は日本語の授業以外は日本人と同じ授業や研究会に参加するが、それについていける日本語力を持つ米国人学生は少く又英語で彼らに科目を提供する大学はまだ少数であり、国立大学での受け入れは小規模にとどまっている。この背景には国立大学の受け入れ体制が明確な留学生政策の下に確立されず学生交流の位置付けが不明確であり、増加する留学生に対応するべく留学生センター、留学生教育専門担当教官等徐々に体制が整備されつつあるが、受け入れに際して事務官や受け入れ教官の負担が大きく、宿舎不足や日米大学間での情報不足の問題も含め積極的に米国人学部生を受け入れる状況でない事がある。しかし一方ではオーストラリアと日本の国立大学との間で学生交換が近年開始されつつあり、留学生政策を自主的に検討し始めた大学もある等の新しい状況の中で、本研究は米国人学部生の質・量面での受け入れ拡大の対応策として1)大学の主体的留学生政策の明確化2)米国人学部生の日本留学に対するニーズ及ぶ阻害要因の調査3)学部間・大学間・あるいは大学と企業等との連携による受け入れプログラム作り4)パイロットプログラムの作成・実施5)留学生事務の充実等を打ち出した。