研究概要 |
磁性流体気液二相流を活用した新しいエネルギー変換システム開発の基礎研究として,非一様磁場下での感温磁性流体の気液二相流動特性の解明とその磁場制御に関する研究を行った。まず始めに,磁性流体の管内沸騰気液二相流動特性を理論的に解析するために,沸騰による気泡発生頻度を正規分布で与えて,一次元流れとしての取扱いの基礎式を解き,流路に沿うボイド率,スリップ比及び圧力の分布を求めた。その結果,磁場の作用下で二相流を利用することが,磁性流体を駆動するのにより効果的であることを明らかにした。 以上の理論的考察に基づき,非一様磁場下での磁性流体の気液二相流の流動特性を精度よく測定するための基礎実験装置を試作し,予備実験として,加熱した空気泡を磁場作用域の中央部から混入させ,その下流側で気液二相流を実現させて二相流の管内圧力分布及び温度分布への磁場の影響についての検討を行った。その結果,管内圧力分布に及ぼす磁気力,浮力,慣性力,圧力損失の各成分の影響を明らかにした。以上の研究成果を参考にして,管路内に棒状ヒーターを挿入して磁性流体の沸騰二相流を実現させ,直接熱エネルギーを流体の運動エネルギーに変換する基礎実験を行った結果,適切な加熱量と磁場分布を与えることにより良好な流体駆動効果がえられることが明らかにされた。なお,温度分布への磁場の影響は小さいことも判明した。 磁性流体は黒褐色の液体で通常の方法では内部の気泡の運動を観測できないので狭いすき間を有する長方形断面の流路を作成し,磁場の作用下での気泡の運動を可視化できるようにして実験を行い,磁性流体中の気泡の運動状況についても新しい知見をえた。
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