配分額 *注記 |
32,600千円 (直接経費: 32,600千円)
1993年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1992年度: 13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1991年度: 17,200千円 (直接経費: 17,200千円)
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研究概要 |
分子軌道法(DV-Xαクラスター法)により合金中のふるまいを基にした2つの合金パラメータ,MdとBo,を計算し,これらのパラメータを用いて,主な遷移金属基合金であるNi,Fe,Zr,Mo,Nb合金の相安定性,機械的特性などに関する実験データの評価を行った。その結果を基に,遷移金属基合金に関する基本的な設計法を得た。以下にそれらを要約する。 (1)Ni基合金では,合金の平均組成から,合金の強化相として重要であるγ'相(Ni_3Al型L1_2相)の体積率とその組成を算出する方法を確立した。これは,その体積率が2つの合金パラメータを成分とする合金ベクトルで定量的に表わされることに基づいている。この方法で実際にジェットエンジンや発電用ガスタービンに用いる超合金の設計を行った。(2)Fe基合金では,蒸気タービンやボイラー用フェライト鋼の高温強度をBoを用いて予測する方法を確立した。高速増殖炉用オーステナイト合金については2つの合金パラメータにより,相安定性,耐中性子照射性および中性子吸収断面積を予測し,それらを考慮して高温強度に優れた鋼を設計する方法を確立した。これらフェライト鋼とオーステナイト鋼についても,その方法を用いて実際に設計を行った。(3)原子炉に用いられるZr合金については,中性子吸収断面積を考慮しつつ,スペーサー材として,ばね特性と高温水中での腐食特性を合金パラメータで関連づけ,設計の指針を得た。(4)Mo基,Nb基合金では,室温および高温の硬度と三点曲げ試験の結果が合金パラメータと相関があることに基づき,実用化に向けて重要な延性と加工性を合金パラメータにより予測する方法を示した。 以上の方法は一貫して合金の局所電子状態を反映した合金パラメータを用いることに特徴がある。
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