研究課題/領域番号 |
03403001
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 巌 北海道大学, 工学部, 教授 (80002111)
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研究分担者 |
秋本 誠志 北海道大学, 工学部, 助手 (40250477)
西村 賢宣 北海道大学, 工学部, 助手 (60218211)
太田 信廣 北海道大学, 工学部, 助教授 (70113529)
一ノ瀬 暢之 北海道大学, 工学部, 助手 (00232405)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
20,200千円 (直接経費: 20,200千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1991年度: 13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
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キーワード | フラクタル / LB膜 / 疎水性高分子 / ピコ秒レーザー / 励起エネルギー移動 / 蛍光減衰曲線 / 高分子コロイド / 相転移 / ピコ秒レ-ザ- / 励起エネルギ-移動 |
研究概要 |
本研究は、複数個の分子が集合して作る分子凝集体のモルフォロジー(形態学)と光励起エネルギー緩和の問題に関して、分子の空間的な分散には一定の規則性(フラクタル構造)が存在し、この分散が励起分子ダイナミクスとどのように関連しているかについて解明することが目的である。研究成果は次のように要約される。 (1)LB膜におけるフラクタル構造 LB膜中のゲスト分子の分散について、ピコ秒蛍光減衰曲線の解析、時間分解スペクトルの解析に基づいて調べ、シアニン系およびロ-ダミン系色素分子のLB膜では、フラクタル次元1.8〜1.9を与え、非常に強い凝集が起こり島状構造をとるが、フルオレン、ナフタレン、ピレン、アセトラセンなどの芳香族炭化水素のLB膜ではフラクタル次元1.1-1.3を与え、均一分散に近い構造をとり、カチオン性色素であるシアニンなどでは強い分子間相互作用が働いていることがわかった。 (2)フラクタル分散構造における励起エネルギー緩和 フラクタル分散系では、時間分析蛍光スペクトルはピコ秒時間スケールで蛍光帯が赤方シフトしていき、励起エネルギー緩和は次々と分子会合体へホッピング移動しながら進むことがわかった。 (2)高分子ミクロ凝集体におけるフラクタル構造 ピレンおよびナフタレンでレベル化した疎水性高分子ポリイソブロピルアミドの水溶液について、エネルギー移動の実験からフラクタル次元を求め、その結果この高分子構造においては相転移に伴って、フラクタル次元が1次元から2次元へジャンプすることがわかり、高分子構造とフラクタル次元の間の相関が明かとなった。 本研究では、高分子ミクロ凝集体、LB膜、ベシクルなどをとりあげ、分子の形状とフラクタル分散との相関の問題を系統的に調べることに成功し、「フラクタル構造」が科学においてひろく存在し、基本的かつ一般的な現象であることを確立するとともに、とくに分子組織体においては、このフラクタル構造が励起エネルギー緩和と密接に関わっていることが示された。
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