研究概要 |
本研究は,イネの育種および遺伝子研究に充分なマップ基礎情報を与えることを主目的として企画された. 標識遺伝子や白葉枯病抵抗性遺伝子に関する24のF_2集団を調査した結果,これまでにfs-2,d-18,d-2,rl-2,spl-6,eg(染色体1),tri,bl-1,l-chl(t),spl-2(染色体2),chl-1,fc-1,st(t),dl,spl-3,(染色体3),Xa-1,Xa-2,d-11,Ph,lg(染色体4),gl-1,xa-5,d-1,st(t),spl-7,nl-1(染色体5),dp-1,spl-4,Cl(染色体6),g-1,d-6,spl-5,v-11(染色体7),sug,v-8(染色体8),I-Bf,dp-2,drp-2,Dn-1(染色体9),spl-10,pgl(染色体10),Xa-3,Xa-4,Xa-10,z-2,v-9(染色体11),spl-1,rl-1(染色体12)がRFLP連鎖地図にマップされ,従来の連鎖地図とRFLP連鎖地図との大まかな対応および統合が全染色体について明らかとなった. 種子でマッピング集団を維持できる組換自殖系統の育成を日本型品種「あそみのり」とインド型品種「IR24」の交配から単粒系統法で行い,F_6世代84系統を用いて114個のRFLP遺伝子座と26個のRAPD遺伝子座からなるRFLP/RAPD Land Mark地図を作成した.この中のF_7世代71系統を用いて385個のRFLPマーカーからなるRFLP地図を構築した.この地図はDNAマーカーの連鎖解析用骨格地図となるもので,多方面の利用が期待される. Tertiary trisomics, Acrotrisomics,相互転座,染色体欠失などの染色体変異系統を利用して,その切断点のRFLP地図上での位置を推定した結果,染色体1,3,4,5,7,9,12について染色体と連鎖群の物理的な対応が明らかになった.また,一部はRFLP地図上での動原体の位置あるいはRFLPマーカーの座乗腕が決定された.さらに,染色体地図作成の有力な武器となると期待されるin situ chromosome hybridization およびmicrodisectionを試みた結果,今後のイネ染色体地図作成に使用できる見通しが立った.
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