研究課題/領域番号 |
03404028
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 宏之 (1992-1993) 東北大学, 医学部, 助手 (60224531)
小暮 久也 (1991) 東北大学, 医学部, 教授 (20133936)
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研究分担者 |
小野寺 宏 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20214207)
阿部 康二 東北大学, 医学部, 助手 (20212540)
中村 正三 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (80108498)
加藤 宏之 東北大学, 医学部, 助手 (60224531)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 脳虚血 / 脳血管性痴呆 / 分子生物学 / 熱ショック蛋白 / ストレス応答 / 熱ショック蚕白 / 熱ショック蛋白質 / in situ hybrldization |
研究概要 |
脳血管性痴呆の発症機序を解明し、合わせて研究の成果を予防法、治療法の開発に役立てることを目的としてモデル動物を用いて分子生物学的方法で検討した。1)、砂ネズミおよびラット前脳虚血モデルを用いて、脳虚血が選択的脆弱細胞の遺伝子発現を変化させることを示した。すなわち、砂ネズミ虚血脳からクローニングしたheat shock protein-70(HSP70)、および、heat shock cognate protein-70(HSC70)のcDNAを用いて同遺伝子のmRNAの発現をin situ hybridization法で検討した。砂ネズミでは、前脳虚血後、選択的に障害される海馬CA1領域の神経細胞死に先立ってHSP70 mRNA、および、HSP70の発現が消失することから、虚血性神経細胞死にHSP70の翻訳、転写両面での障害の関与が示唆されたが、ラット脳では虚血後にHSP70が合成されても神経細胞死が起こった。2)、非致死的脳虚血後に誘導される虚血耐性のメカニズムについて検討した。砂ネズミ前脳虚血モデルを用いmicrodialysis法で検討したが、虚血中に放出されるグルタミン酸の量は非致死的脳虚血の前処置によって変化しなかった。しかし、HSP70の誘導が虚血耐性の発現に一致して起こり、虚血耐性の獲得が抗HSP70抗体、あるいは、HSP合成阻害剤のquercetinの投与により抑制されるので、HSP70の関与が示唆された。虚血耐性を獲得した砂ネズミ脳では虚血後にHSP70 mRNAおよびHSP70蛋白の誘導が速やかに起こるような促通化現象が観察された。ラット虚血耐性モデルにおいて虚血耐性を獲得した脳においてHSP27がグリア細胞を中心に合成されることを観察し、neuron-glia interactionを介した保護機構が示唆された。以上のように、脳虚血後には、神経細胞だけでなくグリア細胞にも種々の遺伝子発現が誘導され、直接的、および、neuron-glia interactionを介した間接的な神経細胞保護修復機構が活性化されると考えられた。
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