研究課題/領域番号 |
03404031
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊岡 照彦 東京大学, 保健管理センター, 教授 (00146151)
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研究分担者 |
東丸 貴信 東京大学, 医学部(病), 助手 (60180163)
杉本 恒明 東京大学, 医学部・第二内科, 教授 (60019883)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
23,200千円 (直接経費: 23,200千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1992年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1991年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 血管平滑筋細胞 / 細胞内カルシウムイオン / チャンネル / 内皮細胞 / 内皮由来弛緩因子 / 動脈硬化 / エンドセリン / 受容体 / 血管平滑筋 / 細胞内Caイオン / Caチャンネル / 成長因子 / 共存培養 / 細胞増殖 / 分化 / 脱分化 / 血小板由来成長因子 / 細胞間非均質性 |
研究概要 |
研究助成を頂き、当初の研究予定を80%程度達成することができた。関係各位に深謝するとともに、以下その成果を箇条書で記載する。 1.血管平滑筋細胞内Caイオン(〔Ca^<2+>〕)_1)動態を2次元画像として解析する機器を独自に開発して研究に供した。この結果血管平滑筋は〔Ca^<2+>〕_1の調節系は決して単一でなく、細胞の増殖過程に依存して電位依存性Caチャンネル、IP_3作動性CaチャンネルとCa^<2+>/カフェイン/リオニジン作動性Caチャンネルは独立に機能発現する事が示された。 2.血管内皮細胞と平滑筋細胞の共存培養させ、両者の〔Ca^<2+>〕_1動態を同時観測することに世界で初めて成功した。内皮細胞の刺激物質としてATPを用いた時、単独培養下では内皮細胞も平滑筋細胞も〔Ca^<2+>〕_1は一過性に上昇したが、両者の共存培養では上記の内皮細胞の反応に約5秒ほど遅れて、隣接する血管平滑筋細胞の〔Ca^<2+>〕_1が一過性に減少した。これらの反応にはdown-regulationやtachyphylaxisは認められなかった。共存培養の時に認められた平滑筋細胞内の〔Ca^<2+>〕_1の低下はATP刺激により内皮細胞からEDRFが生産され、隣接する血管平滑筋に作用する結果である事を各種EDRF遮断物質を用いて証明した。 2.脂質の中で最も動脈硬化を来す作用の強いlysophosphatidylcholineは上記EDRFの作用を抑制し、ATPによる血管平滑筋細胞の〔Ca^<2+>〕_1低下作用を減弱させ、その拡張機能を妨げる事を示した。この結果は動脈硬化発生の機序に重要な一石を投じる物と自負している。 3.ET_A,ET_B受容体がエンドセリン-1と-2を認識する部位を分子生物学的にキメラ遺伝子を設計し、COS細胞にtransfectionして検討して各エンドセリンの結合と〔Ca^<2+>〕_1測定実験から、受容体のIとIV,V,VI,VIIの膜貫通部分が認識部位である事を証明した。 4.臨床研究として冠攣縮性狭心症の発症にはエンドセリンの血中濃度が高い事と、これに他の要因が加わる事が必要である事を提唱した。 以上の諸結果は3年間で19編の英文原著論文にまとめられ(裏面の発表論文一覧を参照)、更に2編投稿準備中である。今後はこれらin vitro中心の結果をin vivoの研究に発展させ、動脈硬化の病態解明と治療に応用する予定である。
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