配分額 *注記 |
28,000千円 (直接経費: 28,000千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1992年度: 10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
1991年度: 13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
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研究概要 |
本研究では,磁気脳波と電気脳波を用いて大脳機能地図を作製し,これをMRI上に表示するシステムを構築した.これによって脳の機能を各被験者ごとの脳の構築と対応させて表示することを可能とした.すでに100例を超える症例で脳の機能評価を行えた. 体性感覚誘発磁界においては,正中神経・後脛骨神経の刺激後の反応により中心溝同定が可能となった.その精度は標準偏差約3mmで,腫瘍や脳出血による脳溝偏位が存在しても精度の高さを維持できた.これによって開頭手術に先立って病変と中心溝の位置関係を把握でき,血管内外科手術やガンマナイフ治療にも有用であった.開頭手術の際,誘発磁界で推定した部位を脳表電極で確認することもできた. 聴覚誘発皮質反応では,左右聴覚野を標準偏差2mmの精度で推定可能となり,これも開頭手術,血管内外科手術,ガンマナイフ治療の際に役立てることができた.側頭葉腫瘍例で,聴力テスト正常と診断されても一側聴覚野からの反応消失例や同側耳刺激反応のみの消失例をとらえることができた.交通事故による遷延性意識障害患者においては,挫滅した左側頭葉からの聴覚反応を検出でき,その後の言語訓練へと結び付けることができた. 視覚誘発反応においては,パターンリバーサル反応を用いることにより,刺激視野と反対側のcalcarine fissureを精度良く推定できた. てんかんの棘徐波の信号源を推定することにも成功した.特に左右の大脳半球から独立した棘徐波信号をはじめてとらえ,これが一側半球から急速に両側大脳に広がる様子も観察できた. 以上,多機能4次元野機能地図と3次元MRIとの統合が可能となり,疾患脳における機能の部分消失・機能局在の偏位・残存機能の評価などを評価することができた.当初の研究計画に比べて,はるかに臨床応用に適した本格的なシステムを構築することに成功し,研究成果は脳磁計の設計に携わる理工系の研究者へフィードバックされている.
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