配分額 *注記 |
35,500千円 (直接経費: 35,500千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 28,500千円 (直接経費: 28,500千円)
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研究概要 |
エナメル質の原始型である魚類のエナメロイドの形成機構と石灰化の進行過程におけるフッ素や鉄などの微量元素の取り込みに注目し,さらに両棲類、爬虫類、哺乳類エナメル質の検索を加え、生物進化に伴う歯の外胚葉性石灰化機構の変遷について明らかにすることを目的とした。特に,魚の進化の過程でのフッ素と鉄のエナメロイドへの濃縮現象の出現と消失の時期の異同を検索して、それらの現象と魚の系統発生との関係を解析し、両元素のエナメロイドへの濃縮の生物学的意義を明らかにしようとした。 エナメル質の進化において,歯冠の形態変化は食性に関連すると考えられてきた。事実,魚の歯の形態と配列は食性に対する適応が特に著しい。しかしながら,本研究でエナメロイドに含まれるフッ素や鉄の含有量の違いは食性とは関連していないことを明らかにした。例えば、スズキ目のCichlideに属する多くの魚の適応放散が著しく、食性は多用で、歯冠も多用な形態をとっている。・しかしながら,それらの魚のエナメロイドはいずれも高いフッ素濃度を示し、食性に依存した濃度変化は見られない。このことから、魚のエナメロイドでは個体の進化に際しての形態的変化と質的(化学組織)変化とは全く独立して進行していると考えられる。 哺乳動物において注目される系として,ラットの切歯エナメル質で見られる鉄の沈着が成熟期でエナメル芽細胞の関与のもとで起こっている事実があげられる。本研究においては,このラット切歯および臼歯エナメル質の形成機構を解明する目的で,多種の薬剤による形成障害を調べ,生体の側からの反応について考察した。その結果,基質形成期の約3倍にも及ぶ長い期間である成熟期の過程にあるエナメル芽細胞はその構造と機能を特異的に分化させており,薬剤に対する感受性を異にしていると考えられる。
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