研究課題/領域番号 |
03404061
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大塚 栄子 北海道大学, 薬学部, 教授 (80028836)
|
研究分担者 |
紙谷 浩之 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (10204629)
森岡 弘志 北海道大学, 薬学部, 助手 (20230097)
井上 英夫 北海道大学, 薬学部, 助教授 (80088856)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
23,100千円 (直接経費: 23,100千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 20,100千円 (直接経費: 20,100千円)
|
キーワード | RNA酵素 / 生体触媒 / ras遺伝子 / 細胞癌化 / N1H3T3細胞 / 合成遺伝子 / NIH3T3細胞 / RNA切断 / トランスフォ-メ-ション |
研究概要 |
遺伝子の発現を抑制する段階としてDNAの複製または転写のレベルで行なう場合とRNAのプロセシングやRNAの翻訳の段階でRNAを対象とする方法がある。アンチセンス活性という概念はメッセンジャーRNA(mRNA)を不活性化するという意味から始まったRNAレベルの遺伝子の発現調節である。本研究では、酵素活性のあるRNA(リボザイム)を用いて特異的にmRNAを加水分解して有害な遺伝子の発現を阻止する方法を確立することを目的として研究を行なった。ヒトがん遺伝子の一つであるHa-ras遺伝子は突然変異によって活性化されることが知られているので、これから生ずるmRNAのみを細胞内で分解するRNAの遺伝子を細胞内に導入して活性化されたHa-ras遺伝子の発現抑制を調べた。方法は、c-Ha-ras遺伝子の正常型Gly-12と活性型Val-12のそれぞれを哺乳動物細胞のプロモーターであるRS-LTRを含むベクターに結合し、N1H3T3細胞におけるフォーカス形成の有無を定量的に観察した。活性型Va-12mRNAを切断するリボザイムを合成し、ネオマイシン耐性遺伝子を持つベクターに結合しN1H3T3細胞にトランスフェクトした。リボザイム遺伝子が導入された細胞を選択し、これに活性型Val-12Ha-ras遺伝子を持つベクターをトランスフェクトし、細胞の癌化の阻止を観察した。その結果、リボザイム遺伝子ベクターで処理した細胞は、12番目のフォーカス形成を50%以上減少させたことがわかった。しかし、61番目が活性化されているras遺伝子による細胞のフォーカス形成には効果がなかった。このことは、相補的塩基対によるアンチセンス効果による抑制ではなく、リボザイムによる切断効果によるものであることが明らかになった。切断による遺伝子の不活性化は不可逆的であることから、リボザイムによる効果は塩基対形成による効果よりも有利である。広い意味でのリボザイムの細胞内アンチセンス活性を明らかにすることができた。
|