研究概要 |
1 昨年度実施したアンケート調査の結果を集計,分析した。その研究成果を,日本教育行政学会第27回大会(於・福岡教育大学)で発表した。新たに得られた知見の例示として,教員の勤務評定意職について以下に若干を摘記する。 (1)約8割の教員は,自己の職務が何を基本的な要素として評価されているかを「よく知らない」か「全然知らない」でいること。 (2)勤務評定の結果がどのように活用されているかについては,全体的に不透明な意識が広く存在すること。 (3)教員の仕事を子どもと保護者への責任という視点から評価すること,すなわちアカウンタビリティの発想に対しては,教員は否定的反応を示すことが予測できること。 (4)勤務評定の改善については,制度的な,客観的な形をとった方策に対する合意が成りたつ可能性はほとんど予測できないこと。 2 外国研究については,主としてイギリスの学校経営と教員評価制度について研究を進め,その成果を,同じく日本教育行政学会第27回大会で発表した。1991年秋から実施されたイギリスの勤務評定制度における評定書は,1周期2年間にわたる評定のプロセス,とくに面談の記録文書であること等,日本の制度とはだいぶちがうことがわかった。 3 研究の進行のなかで,九州大学教育学部小川正人助教授研究室のメンバーが同じ問題にとりくんでいることがわかり,研究の交流をおこなった。それらのメンバーが東京大学に移る予定もあり,「学校の評価,選択,経営に関する日・英・米3ヶ国の比較・実証的研究」というテーマで平成5年度科研費を申請することとした。
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