研究概要 |
1.海外進出企業の全体的動向を分析し,個別調査対象業種および対象企業を5業種28社にしぼった。 2.対象企業を平成3年度15企業,平成4年度13企業とし,海外への事業所(支店・駐在員事務所,資本提携のみなどを含む)の進出時期,立地場所,進出理由,立地選択理由,業務内容,企業内の他の事業所との相互関連性,業務管轄系統などを調査した。 3.全体的には1960年代以降,日本企業の海外進出は増加の一途を辿ってきたが,その投資(進出)目的は現地への販路拡大(日本からの輸出),貿易摩擦や円高傾向に対処する現地生産および販売,および現地の原料・製品の日本への輸出業務に大別される。 4.輸出入に深く関与する商社や日本企業の集積度の高い地域における金融業は首都や大都市に支店や駐在員事務所を配置している例が多いが,製造業や鉱業の場合は,市場・輸送費・労働力確保など元来の立地要因によって進出先の地域枠が決定される。また海運業の場合,主要港湾に駐在員事務所が設置されている。 5.調査対象として抽出した企業は,日本でも最上位に位置する巨大企業で,海外に多数の系列企業や事業所群を有している。これら海外拠点を統轄する組織ネットワークの形態は,日本の本社と直結する「本社機構直轄型」と,海外に副次的な地域統括部門を置く「副次的地域統括型」があって,後者のタイプをとる場合,それらが国家的都市システムの頂点に立つことの多い首都に位置する例が多い。そして,これら首都間に国際的都市システムを形成しつつ,米州統括部,欧州統括部などの位置する都市がその頂点に立つことになる。
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