研究課題/領域番号 |
03452051
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
工藤 博 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (40111364)
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研究分担者 |
石原 豊之 筑波大学, 物理学系(加速器センター), 助教授 (10013385)
島 邦博 筑波大学, 物理工学系(加速器センター), 講師 (70087964)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | イオンビーム固体相互作用 / イオン励起電子分光 / イオンチャネリング / イオンビ-ム固体相互作用 / チャネリング効果 |
研究概要 |
高速イオンの固体内における相互作用を電子状態レベルで理解するためには運動中のイオンの固体内における荷電状態についての知見が必要であるが、従来はX線測定あるいは薄膜透過後の荷電測定による2、3の間接的なアプローチしか行われていなかった。このような状況にあって、本研究はイオンの固体内荷電状態を測定するための新しい手段を確立することを目的として始められた。 実験装置の関しては、真空排気系の強化により排気速度の向上を図り、加速器のマシンタイムの増加(本研究開始前の約300%)に対応することができた。さらに2次電子分析器内部のウィンドウ幅を遠隔操作化することによって加速器のビームを中断しない連続測定が可能になったので、ビームの不安定性に起因する実験誤差を避けることができた。またビームスリット系の遠隔操作によってビームの開き角0に対する測定値を求める方法を確立した。これらの実験技術の改良が本研究の発展に直接つながったことは特筆すべきである。 イオンが内殻へ電子を捕獲していればその電気的なスクリーニング効果によってイオン原子間ポテンシャルは減少し、その結果イオンビームの結晶内シャドーイング効果が弱められることが期待される。本研究ではこの効果を2体衡突過程で発生する高速(keV)2次電子測定によって検出し、原子列に沿って走るイオンの荷電状態を決定することができた。例えば、2.5MeV/uのイオンがSi単結晶内に入射して表面から20nmの深さに達するまでの荷電状態について、(i)非平衡荷電状態であること、(ii)B,C,O等の軽イオンがほぼ入射時の荷電状態を保っていること、(iii)Si,S等の重イオンは数個以上の電子捕獲を行っていること、等が見いだされた。今後、固体内イオンの荷電状態の全貌を明らかにするためには系統的なデータの蓄積が必要であろう。
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