研究概要 |
1.第1段階の研究として,平行平板間クエット流の乱れ構造を解明し,次の結論を得た.(1).壁領域における乱れ構造は2次元チャンネル流に近い構造であるが,乱流コア部ではチャンネル流とは著しい相違があり,乱れ構造に次のような特色がある.(2).平均速度Uの勾配が乱流コア部に存在するため乱流エネルギの生成がuに対してのみ生じる.そのためチャンネル流よりも非等方性が強く,実効値比u':v':w'=1.56:1:1.19となる.(3).変動がガウス分布に近く,速度3重相関がほぼ0で,粘性拡散,乱流拡散などの拡散効果が無視できる.したがって乱流エネルギと散逸が平衡を保っている.(4).スパン方向には周期性を持った平均速度の変化がみられ,大規模な渦状の流れ構造が生じている. 2.波状壁を持ったクエット型乱流において乱流コア部に見られる履歴現象と壁領域の局所非平衡のメカニズムを解明するためには,クエット・ポアズイユ型の乱流を研究し,波状壁の場合の結果と比較検討する必要がある.そこでクエット・ポアズイユ型乱流について,レイノルズ数R_e^*=hu_*/ν,せん断応力勾配dτ/dyを独立のパラメータに選び,速度分布に及ぼすこれらの効果を考察し,次の結論を得た.(1).壁法則はU^+=f(y^+,μ^<-1>)で与えられる.ここでμ^<-1>=(νdτ/dy)/(ρu_*^3)である.Van Driest係数A^+及び対数則の付加定数Bについて,順圧(μ^<-1><0)又は逆圧(μ^<-1>>0)に対応したレイノルズ数の効果を明らかにした.(2).dτ/dy>0の場合の1/2乗則分布について,β〓ρu_*^2h/(dτ/dy)とR_e^*の影響を明らかにした.(3).乱流コア部における速度欠損則の分布は,流れがポアズイユ型であるか,クエット型であるかによってのみ決まることを明らかにした.ここでクエット型とはβ>-0.5,ポアズイユ型とはβ<-0.5である.
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