研究概要 |
本現究は,学術上,実際上重要な乱流拡散燃焼過程の解明の基礎となる乱れ渦の構造,その生成機構,および混合に及ぼす作用について実験的ならびに理論的に検討を行ったもので,次の3つの事項に分類される。すなわち,1.レーザシート法により噴流および噴流火炎内の乱れ渦構造を調査すること,2.実験結果に基づき熱流体力学的不安定性の立場から乱れの生成および消滅の機構を論じること,3.乱流場におけるガス流動の空間分布を求めるための画像解析方法について検討することである。それぞれの研究で得られた知見をまとめると以下のようになる。 1.火炎の存在下では乱れ渦は一般に予想されているよりもはるかに粗大な構造を持ち,せん断層に生じるコヒーレント渦よりも円周面に入り組んだ様式が乱れ渦の主体であって,それにより空気が芯部まで取り込まれる。噴流火炎の外周では高温によって粘性層が形成され,その内部に閉じ込められた燃料流はノズル近傍から湾曲し,それが流れに沿って拡大して遷移点で外側のすす層まで及び空気飲み込み渦に成長する。 2.燃料流中に生じる曲がり流れの作用による圧力勾配とそれに直交する火炎面の密度勾配によって渦度が生成し,それによって火炎面は大きく引き延ばされる。火炎面の変形は,密度勾配および圧力勾配の増加とともに大きくなり,なかでも火炎面に沿って生じた圧力勾配がある大きさ以上になれば,燃料-空気混合が促進し熱発生量が増加してより一層火炎面の変形を加速する。 3.粒子画像流速測定法により適切な条件を選定すれば,乱流場の瞬間速度ベクトルの空間分布が効率良く計算機処理できる。さらに,低波数成分と高波数成分の分離,渦度分布,せん断ひずみ速度,乱れスケールなどの特性値の計算により拡散火炎の乱れ生成・消滅に関する有用な情報を求めることができる。
|