研究概要 |
この研究は,砕波帯での漂砂形態である層状運動(シートフロー)を対象として,これまで着目されていなかった砂面に働く波圧による砂層内の間隙水圧変動とそれにともなう地盤骨格の鉛直有効応力の変動の効果を明らかにし,さらにその構成式を明らかにして漂砂量則を確立することを目的として,平成3年度から5年度までの3年間にわたって行われたものである. 上記の間隙水圧変動を通常の砂を用いた実験で再現するには,現地海岸での波庄および海底面での往復流と同じスケールの水圧変動および振動流を同時に発生させる必要があったため,新たに両端を閉じた一種のU字管タイプの振動流発生装置を開発した.しかしながら限られた予算の中では本来期待したような水圧変動および振動流さらに両者の自由な位相差の制御が出来なかった. そのためここでは水圧変動のみを作用させて,漂砂運動に関係する砂表面から10cmの厚さの層での間隙水圧変動を測定し,近似解と比較してその定数の値を検討した.また海岸ブロックの沈下に対する波圧と往復流の効果を底生定性的に明らかにするために,水圧変動と振動流を別個にさらに同時に作用させて模型ブロックの沈下を測定した. その他にも関係するいくつかの研究を行ったが,幸い新たに上記の装置の欠点を克服した新たな装置が完成したので,現在この装置を用いて本来の目的である液状化,流動化を考慮した漂砂量則を確立するべく研究を続けている.さらに個別要素法を用いた数値シミュレーション手法をも開発中である.
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